昭和利権構造の関西万博

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 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「万博も五輪もすべてが〈不要不急の財政支出〉」と指摘したうえで「〈財政危機〉を叫ぶなら、まずは不要不急の〈利権財政支出〉を切るべきだ」と訴えた4月14日付の記事を紹介する。

 大阪万博が開幕したが〈並ばない万博〉を標榜したのに〈大行列の万博〉になり、前途を暗示している。悪天候に見舞われたが、雨をしのぐ場所の確保も困難なようだ。ブルーインパルスの飛行も中止された。

 万博は日本財政を考える格好の材料。財政当局は財政危機を唱えている。台風が接近するときなど「不要不急の外出は控えて」と叫ばれる。財政危機が深刻なら「不要不急の支出は控える」のが当然ではないか。

 関西万博の建設費は1,250億円と見積もられていたが、現実には2,350億円を突破する見通し。日本国際博覧会協会は前売り入場券の販売目標を1,400万枚としていたが、これまでに売り捌けた枚数は目標の半分程度。開幕から閉幕までを含めたトータルの入場券販売については、開催運営費を曲がりなりにも賄うことのできる黒字ラインが1,840万枚とされた。3月初旬時点での販売枚数は806万枚。しかも、そのうち700万枚が経済界に割り当てられた半〈強制販売〉であり、個人が購入した入場券はわずか100万枚程度。

 〈並ばない〉ことを〈売り〉にしていたが、開幕当日からの大行列。4月10日夕刻には奈良市のグラウンドで落雷があり、中高生の男女6人が搬送され、うち2人の男子中学生が意識不明の重体になっている。万博会場で落雷が発生しない保証はない。

 木造建造物の〈リング〉の一部は海に建造されているが護岸工事が不十分であることが明らかにされた。夏場に台風や豪雨の被害を受ける際に深刻な影響が生じることが懸念されている。また、日差しを除ける建造物がパビリオンとリングに限られており、夏の炎天下で熱中症等の被害が発生することも懸念されている。さらに、万博会場の一部はかつての産業廃棄物処理場であり、地下から大量のメタンガスが発生していることが明らかになっている。昨年は爆発事故も発生した。今後もメタンガス爆発事故が発生する懸念が強い。

 財務省は日本財政が危機であると主張しており、高額療養費制度改悪によって25年度に200億円程度の歳出抑制を狙っていた。国民の批判が殺到したために25年度の制度改悪は見送られたが、石破首相は参院選後、秋までに制度の見直しを行う方針を示している。

 200億円の財政負担さえ切ろうとしているときに、なぜ万博を開催する必要があるのか。まさに〈不要不急の支出〉。しかし、関西万博の真の狙いは万博にないというのが定説だ。関西万博の狙いはIRのインフラ整備にあると見られている。

 IRで利益を上げようと企んでいる勢力が存在する。万博会場の隣接地がIR建設予定地。万博にかこつけて陸上交通機関の整備を行ったとの見方が有力。しかも、IR用地が不当に低い賃料で貸し出されることも決まっている。

※続きは4月14日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「昭和利権構造の関西万博」で。


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植草一秀の『知られざる真実』

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