東京地裁が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の解散を命じてから約1カ月半となるが、北九州市と山口県下関市で教団をめぐる2つの動きがあった。
北九州市の決議、教団側が敗訴
福岡高裁(岡田健裁判長)は12日、旧統一教会と関係をもたないことを表明した北九州市議会を教団が訴えた訴訟の控訴審判決で、請求を退けた福岡地裁判決を支持し、教団側の控訴を棄却した。
2022年7月の安倍晋三元首相の事件後に教団と政治の関係が明らかになったが、北九州市議会でも複数の市議との接点が確認されていた。

決議は「選挙活動の支援、パーティー券購入等の見返りに、政治家が旧統一教会のイベントなどに出席し、祝電を送るなどすることで、旧統一教会の活動に『お墨付き』を与えてきた」ことを指摘。「市議がこのような団体と癒着することは、市民の政治に対する不信感を増し、さらなる被害者をつくり出すことにつながりかねない」「行事への参加やメッセージなどの送付、会費の納付等の関係を一切持たないことを宣言する」としていた。
決議当時の市議会議長・鷹木研一郎市議(自民党)は「私は旧統一教会とは関わりをもたなかった」としたうえで「教団やそれに同調した動きがあるが、被害者の方々に顔向けできない行為で、決議を主導した議長として怒りを感じている」とコメントした。
下関市、市公共施設の利用を不許可

北九州市と関門海峡を隔てる山口県下関市では、次のような動きがあった。前田晋太郎市長は7日の定例記者会見で、世界平和統一家庭連合下関家庭教会が申し込んだ下関市生涯学習プラザ(以下、学習プラザ)の貸し出しについて、不許可を通知したことを明らかにした。
教団側は学習プラザの5月以降の使用許可申請書を提出していたという。下関市は教団の解散を命じた東京地裁の決定を受けた対応としている。なお福岡市は23年6月から旧統一教会や関連団体による市公共施設の利用許可を保留している。
下関市では昨年4月、田中富広会長出席のもと旧統一教会の教祖・文鮮明氏の来日を記念する「日臨節83周年記念大会」が行われていた。しかし、同年5月に福岡市の市民団体「統一教会から福岡を守る会」などから下関市の公共施設を貸し出さないよう下関市長や下関市教委に対して申し入れが行われたことから、下関市議会においても問題となっていた。
【近藤将勝】