NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「参議院選挙では国民のための政治を公約に掲げる政党だけが投票対象になる」と論じた6月16日付の記事を紹介する。
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参議院議員通常選挙は7月22日投開票の日程で実施される見通し。石破内閣は衆参ダブル選を模索した。昨年10月総選挙で自公は大敗。過半数を大きく割り込んだ。野党人気が翳り、自民人気が回復すれば過半数奪回のチャンスになる。
野党が内閣不信任案を提出すれば、これを大義名分にして衆院解散に踏み切る構えを示した。これにおじけづいたのが立憲民主党。いま総選挙が実施されれば立民はさらに議席を減少させる可能性が高い。そこで、内閣不信任案提出を見送る姿勢を示している。
立民は選挙で勝利して政権を奪取する見通しが立たないため、参院選後に自公政権に加えてもらう道を描く。堕落した野党である。
立民は自公に合流して消費税増税に賛成する可能性がある。その参院選に自公の与党は一律給付金バラマキの方針を決めた。二転三転、一貫性のない政策運営。選挙に際して有権者に金品を配るのは文字通りの選挙買収。白昼堂々の公職選挙法違反で突き進む構えを示している。
背後で仕切る財務省は何を考えているのか。財務省の最大目的は消費税減税阻止、そして、消費税増税。消費税減税を阻止できるなら何でもやる構え。
消費税は大衆課税。景気変動の影響も受けない。所得の少ない人ほど負担感が重い。年収100万円の人は所得税が納税額ゼロだが、消費税では収入金額の1割をむしり取られる。地獄のような酷税。年収10億円の個人が1億円消費したとして収入に対する税負担率はわずかに1%。金持ちに限りなく優しい税である。
庶民から消費税で資金をむしり取り、そのむしり取った金で特定の企業、業界、団体に〈利権支出〉をばらまく。これが日本財政の基本構造。〈利権支出〉は〈天下り〉というキックバックを生む財政支出であるから財務省は〈利権支出〉の増大を推進する。
消費税減税を阻止するためなら給付金は受け入れる。給付金の特徴は〈1回限り〉にある。次年度以降に影響を残さない。だから、給付金には寛容なのだ。
〈バラマキ〉の批判を回避するため、子どもに対して追加給付金を設定し、住民税非課税世帯にも追加給付金を設定する。しかし、選挙目当ての〈買収〉である点に変わりはない。しかし、自民党は決定的な失策を犯した。バラマキ給付金の〈財源〉について口を滑らせた。「自然増収を財源にする」と言ってしまった。〈自然増収は財源になる〉ことを明言してしまった。
私は消費税率5%への引き下げを20~24年度の自然増収を財源にして実施すべきだと唱えてきた。20~24年度の自然増収が年額で15兆円に達している。〈自然増収は財源になる〉なら消費税率5%への引き下げを実施できる。財源は自然増収15兆円にすればよい。
※続きは6月16日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「自然増収財源に消費税率5%実現」で。
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植草一秀の『知られざる真実』
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植草一秀プレミアムセミナー&出版記念パーティー開催
6月に新刊『財務省と日本銀行-日本をダメにするカルトの正体-』を上梓する植草一秀氏を講師に迎えて、日本の財政政策の実態を読み解き、経営者が今後の経済環境にどう向き合うべきかを考えるセミナーを開催します。植草氏と直接意見交換ができる貴重な機会です。ぜひご参加ください。
<INFORMATION>
〔日時〕
2025年6月20日(金)午後3時~6時
〔場所〕
福岡市民ホール(小ホール)
〔プログラム詳細〕
講演『財務省の正体とビジネス防衛論』 午後3時~4時半
質疑応答 午後4時半~5時15分
出版記念パーティー(軽飲食付き) 午後5時15分~6時
〔講師〕
植草一秀氏(政治経済学者)
〔参加費〕
1万円(飲食、新刊書籍、書下ろし資料代含む)※要申込
〔お申し込み先〕
専用フォームあるいはTEL、FAXにて
▶ 専用フォーム
TEL:092-262-3388
FAX:092-262-3389
主 催:(株)データ・マックス
※当セミナーの詳細な内容は告知記事にてご確認ください。
<プロフィール>
植草一秀(うえくさ・かずひで)
1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーヴァー研究所客員フェロー、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ(株)=TRI代表取締役。金融市場の最前線でエコノミストとして活躍後、金融論・経済政策論および政治経済学の研究に移行。現在は会員制のTRIレポート『金利・為替・株価特報』を発行し、内外政治経済金融市場分析を提示。予測精度の高さで高い評価を得ている。政治ブログおよびメルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」で多数の読者を獲得している。