都議選と闇落ちする日本政治

 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「日本の改革を目指す主権者は、ばらばらの改革志向政党を一つに束ねる努力をするべきだ」と訴えた6月23日付の記事を紹介する。

 都議選が投開票日を迎えた。都民ファーストの圧勝。自民は大幅後退。全体では自公ファの与党が都議会過半数を確実に制覇した。再生が撃沈したのは当然。何の中身もない政党が伸長するわけがない。国民は健闘したが勢いは完全に後退した。

 革新勢力の退潮は革新勢力のまとまりのなさが最大の背景。「小異を残して大同につく」幅の広さがないと大きな力にならない。「泰山は土壌を譲らず、故に能くその大を成す。河海は細流を選ばず、故に能くその深を就す。」という。泰山がおおきな山になったのは、どんな土でも辞退することなく受け入れたから。大河も大海もどんなに小さな川の水でも受け入れたから大きく深いものになった。という意味。

 「小異を残して大同につく」だから、「大異」を排除する必要はある。しかし、政党として大成するには、「小異」を残す度量の大きさが必要だ。「自分の考えに反する者は一切受け入れない」では大成しない。

 立民が右旋回し、改革勢力が弱体化している。しかし、立民も退潮傾向から抜け出せない。選挙で健闘した候補者は概して若い。若ければいいというわけではないが、未来を作るのはいまの若者。若者の活躍を後押しする政党でなければ未来はないだろう。国民人気は凋落したが、辛うじて生き残っているのは、この勢力が若い世代の擁立を積極化させたから。

 都民ファーストも候補者の平均年齢が低い。さらに、都民ファーストは女性の候補者を多数擁立したことが大きな特徴。年取った男性だけが君臨する勢力に人々を引き付ける吸引力はない。

 現在の国政政権与党は金属疲労が著しい。裏金事件に対するけじめすらつけることができない。この自民も高齢男性が主導権を握る古い勢力。小池百合子都知事は数々の不正疑惑の塊だが、都民ファーストは、低年齢候補者の抜擢、女性候補者の抜擢を推進した。この姿勢が主権者から評価されたと言える。

 高齢者は退散しろということではない。若壮高の男女の結集が必要だ。都議選最大の注目点は野党第一党の立民が党勢を回復できなかったこと。自公の与党が自滅しているのに躍進できない。それも無理はない。立民が自公にすり寄ってしまっているからだ。

 立民は決定的な誤りを犯している。第一は消費税減税を潰していること。1年間食料品税率ゼロなどやらない方がましだ。消費税率を恒久的に5%に引き下げるのが最低ライン。1年限りの食料品税率ゼロなど、零細外食事業者をこの世から消し去ることを目的にしているとしか思われない。

 第二は年金改悪法に賛同したこと。この法律でパート労働者は社会保険に強制加入させられる。51人以上企業で年収が106万円を超えると手取りが16万円、5人以上企業で年収が130万円を超えると手取りが27万円も減る。さらに、厚生年金加入者はせっかく積み立てた自分の保険料を政府に抜き取られる。

※続きは6月23日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「都議選と闇落ちする日本政治」で。


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