単品でも革新メニューを注文

 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「立民は自公との連立を狙い、これを画策する財務省は消費税減税ならぬ消費税増税を目論んでいる」と指摘する6月23日付の記事を紹介する。

 都議選で勝利を拾ったのは都民ファ。自公が否定され、立民が否定され、再生が自滅し、国民が急失速した結果、消去法で都民ファが浮上した。

 有権者は〈古い政治〉にうんざりしている。〈古い政治〉とは高齢男性が支配権を握り、金儲けのために行われている政治。これを鮮明に浮かび上がらせたのが〈裏金事件〉。警察・検察が政治権力と癒着しているから刑事事件として立件された議員はわずか3名。2009年の西松事件では二階俊博氏に刑事責任が及ばないように立件の境界を1,000万円に引いた。これで、小沢一郎氏だけをターゲットにした。

 誤解がないように付記しておくが、西松事件は完全な冤罪事件・誤認逮捕事案である。西松建設関連の二つの政治団体からの寄附を事実通りに収支報告書に記載して提出したことを、検察は〈虚偽記載〉だとして小沢一郎氏の公設第一秘書を逮捕して起訴した。検察の主張は政治団体に実体がなく、記載するべき名称は西松建設であるというもの。仮にこの指摘が正しいとしても、突然、逮捕・勾留する事案ではない。

 大半の収支報告ミスは記載の修正で済まされている。しかし、「政治団体に実体がない」という検察の主張は否定された。2010年1月13日に開かれた第2回公判に西松建設元取締役総務部長の岡崎彰文氏が出廷して証言した。岡崎氏は二つの政治団体に事務所があり、常勤職員も在籍する事実を供述した。この瞬間に、二つの政治団体に実体があることが立証され、西松事件が史上空前の誤認逮捕事件であったことが確定した。

 検察史上最大の失態だったが、検察はこの事実を隠ぺいするために、2日後の1月15日に別の事件を創作した。これが陸山会事件。詳細は記述しないが、2004年10月に代金が決済され、2005年1月に移転登記が完了した世田谷区所在の不動産を小沢氏資金管理団体が取得したことについての政治資金収支報告書への記載が2005年に行われたことを、検察は〈虚偽記載〉だとして逮捕・起訴した事案。これも重箱の隅を突くような言いがかりでしかない。

 検察は2004年でなく2005年に収支報告したことを〈虚偽記載〉だとしたが、法廷で証言した会計学と商法専門の大学教授は2005年に収支報告した行為が正しいと指摘した。

 閑話休題。西松事件や陸山会事件は完全な冤罪捏造事件だったが、自民裏金事件はまったく違う。西松事件と同水準の1,000万円に境界線を置いても21人が刑事事件として立件されるべきものだった。
この事件では二階俊博氏の裏金が3,526万円だったため、刑事事件としての立件境界線が4,000万円に引かれ、3名だけが刑事事件として立件された。

 自民党政治は文字通りカネまみれの腐敗そのもの。有権者が注目するのは政策、政党、候補者である。有権者は若々しい候補、躍動する女性候補に注目する。都民ファは有権者の投票行動を分析している。小池都知事は有権者が敏感に反応する生活周辺の事項について、選挙民の歓心を買う施策を都議選対策として提示。これが大きな集票力の源泉になった。

※続きは6月23日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「単品でも革新メニューを注文」で。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

関連記事