消費税減税ぴったしカン・カン

 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「消費税率5%には燦然と輝く〈財源〉がある」と論じた6月25日付の記事を紹介する。

 6月25日に立憲民主党の野田佳彦氏が時事通信社などによるインタビューで「基本的には単独(政権)を目指すのが筋だ」と述べたと報じられた。https://x.gd/R5RtE

 この発言のキモは「基本的には」。この構文は「基本的にはAだが、Bも考え得る」というもの。同時に「野党連立による政権奪取は容易ではない」とも述べたそうだが、容易でなくしているのは本人に他ならない。

 野田氏が立民代表に就任して日本政治刷新を目指す有権者は落胆した。日本政治に希望の光を差し込ませたのは「小沢-鳩山民主党」だが、この「小沢-鳩山民主党」から権力を強奪して民主党政権を木っ端みじんに破壊したのが菅直人氏と野田佳彦氏。野田佳彦氏に至っては2009年8月総選挙に際して、「シロアリを退治しないで消費税増税は許されない」と絶叫した人物だ。

「野田佳彦のシロアリ演説」
https://x.gd/DETC5

 国民を裏切って消費税増税に突き進んだ。財務副大臣、財務大臣、総理大臣という〈エサ〉に引き寄せられて転んだ。〈のださんがころんだ〉である。

 「消費税は社会保障にとって大切だ」と言われるが、消費税収は1円も社会保障に使われていない。消費税の全額は法人と個人の減税に使われた。所得税と消費税の違いは次の点にある。
〈金持ちに厳しく、お金の少ない人に優しいのが所得税〉
〈金持ちに優しく、お金の少ない人に過酷なのが消費税〉

 いま日本でもっとも深刻な経済問題は格差拡大。中間層がほぼ消えた。中間層が下流に押し流された。国税庁統計で1年を通じて勤務した給与所得者5,000万人のうち、51%が年収400万円以下、20%が年収200万円以下。給与所得者の半数以上が年収400万円以下なのだ。

 90年度と2020年度の税収規模はほぼ同じ。一般会計国税収入は90年度が60兆円、20年度61兆円でほぼ同額。しかし、構成がまったく違う。90年度は所得税26兆円、法人税18兆円、消費税5兆円だったが、20年度は所得税19兆円、法人税11兆円、消費税21兆円。

 野田佳彦氏が法律制定を強行した税制変更は税収を増やしたのではなく、税の構成を変えただけ。格差抑制の視点から見れば90年度税制がはるかに優れている。

 野田氏は自民基軸の連立政権に加わり、さらなる消費税増税に突き進むことを目論んでいると見られる。参院選に向けて、すべての国民が知っておくべきことは財務省の正体と消費税のカラクリ。この問題を徹底解説する拙著を上梓した。
『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』
http://x.gd/nvmU9
本日付けの日経新聞に広告が掲載された。ぜひご高覧賜りたい。

 いま直ちに実施するべき施策は「消費税率5%」。財源もしっかりある。この事実を流布・拡散して欲しい。

 2008年の政府税制調査会が日本企業の税および社会保険料負担の国際比較調査を実施した。報告書に「我が国の企業負担は現状では国際的に見て必ずしも高いとは言えない」と明記した。「法人税減税の必要はない」との政府見解が示されたわけだ。

※続きは6月25日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「消費税減税ぴったしカン・カン」で。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

関連記事