台湾選挙戦で、街が青と緑に染まる
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来年1月の選挙戦に向け、台湾国内は「青」と「緑」の色で埋め尽くされている。「青」は与党・国民党、「緑」は野党・民進党の党色で、各地に、それぞれの色の旗やポスター、宣伝ののぼりなどが掲げられているのだ。
民進党の党旗は、台湾島の形が示された緑色。「台湾が中国大陸から渡ってきた中華民国のものではなく、台湾島生まれの人々のものである」という独立派ならではの思想が込められている。「緑派」は、独立志向の民進党と、さらに過激な独立派「台湾団結連盟」が属するとされる。民進党は2000年から2008年に、陳水扁総統が本土化を実践してきた。
自民党の青陣営は、中国国民党と、そこから派生した親民党から成り立つとされる。国民党が「青天白日」であることが党旗色の由来で、中国大陸志向が強い。台湾が日本の植民地であったころ、中国大陸は、孫文によって国民党結成され、日中戦争を戦い、その後の国共内線に敗れ、台湾島に逃れた。内戦直後は、中台間には理想型として様々な思惑が働き、一部の国民党員には「国民党が中国(大陸)をおさめる」という考え方を持っている人もいるほどだった。共産党への対抗は根本に持つが、近年では共産党の主導ではなく、国民党の主導による中台の統一の意味合いを含め、党員は訪中や幹部対談を繰り返している。出版社によっては、「中華民国が、中国大陸を治めている」という構図の地図もある。
総統選で誰が選ばれるかによって、国としての方向性はガラリと変わる。また、総統経験者は退任後も安定の座が得られるわけでもない。これまで、建国の父である蒋介石や、経済発展の父、蒋経国を輩出。民主化の父、李登輝も国民党に属していたが、台湾島重視の志向が強く、総統退任後、党籍を剥奪された。陳水扁氏は退任後、逮捕されている。馬英九総統は、大陸出身者が高齢化していくなか、「新台湾人」の概念を強調したが、今回の総選挙で野党の蔡英文氏が勝利し、与党が民進党となった場合、何らかの罪で逮捕される可能性もある。
台湾の政治は、いまだ不安定さを残したままだ。【杉本 尚丈】
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