【2025年7月】行政処分や指名停止(62件)監督官庁・自治体公表の企業
企業におけるコンプライアンスの重要性が増しており、経営上のリスクを低減するためには、さまざまな企業情報の収集と分析が不可欠な時代となりました。データ・マックスでは、監督官庁や地方自治体が公表した行政処分や指名停止などの情報をデータベース化し、毎月まとめたレポートを配信しております。
2025年7月判明分は、①監督官庁による公表(全国対象)が16件、九州に特化した情報として、②福岡労働局や九地整、九州運輸局、自治体による公表分が46件、合計62件を確認しました。主な傾向とポイントをまとめ、企業リストを会員限定にて掲載します。本レポートが経営判断のリスクを学ぶ機会となれば幸いです。
2025年7月の法令違反事例分析レポート
- 1. LPガス容器検査不正により登録取消・刑事告発
福岡県内の業者が、LPガス容器に法定の耐圧試験を実施せず「合格」として出荷していたことが発覚し、容器検査所登録が取消され、併せて刑事告発された。未検査容器は過去5年間で約8万5,000本にのぼり、県内外の家庭や事業所に広く流通していた。検査記録の電子帳簿改ざんも行っていたとされ、極めて悪質な事例である。
- 2. 下請法違反による大手メーカーへの勧告
電子機器メーカーは、部品製造を委託する下請業者65社に対し、計823個の金型等を長期にわたり無償で保管させていたとして、公正取引委員会から勧告を受けた。同様の違反は自動車部品メーカーや建材メーカーでも確認され、金型の無償保管や返品費用の負担など、下請法が禁じる「不当な経済上の利益の提供要請」が問題となっている。
- 3. 労働者派遣法違反(派遣禁止業務)による停止命令
人材派遣業者は、港湾運送や医療分野など派遣が禁止されている業務に対し、延べ1,200人日以上にわたり労働者を派遣していたとして、2カ月間の派遣業務停止と改善命令を受けた。形式的な管理だけではなく、実際の派遣先業務の法適合性確認が不十分だったことが問題視された。
- 4. 暴力団との関係で排除措置
福岡市および北九州市は、管工事業者について、代表が暴力団幹部と「密接な関係」にあったとし、それぞれ12カ月および18カ月の排除措置を講じた。事業者の反社会的勢力排除が徹底されるなか、関係の有無だけで社会的信用を大きく失うリスクが浮き彫りとなっている。
- 5. 公共工事の契約辞退にともなう指名停止処分(6カ月)
太宰府市発注の公共工事において、落札後に辞退を申し出た建設業者が、「不正または不誠実な行為」と判断され、同市から6カ月間の指名停止処分を受けた。辞退の理由は、技術者の配置ができなくなったためとされているが、契約辞退は発注者の信頼を大きく損なう行為である。こうしたリスクを十分に理解し、入札段階から技術者体制や契約履行の可否について慎重に確認することが求められる。
以上の事例は、下記の企業リストからの遷移で詳細を確認することができます。