安いは正義?伸びる会社には見える「工数」というコスト

 今回のテーマは、“コストの見方”についてです。とくに「広告まわりの原価構造をどう捉えるか」は、会社の伸びしろにダイレクトに影響します。

安いECばかり探すECジャーニーは高くつく

イメージ    最近、広告物や備品を買うときに、「ECが安いから」と延々と検索を続ける会社が増えました。私、この行為を勝手に“ECジャーニー”と呼んでいます(笑)。

 たしかに単価は安いかもしれません。でも、検索している時間=人件費はタダじゃないですよね?検索して、比較して、再検索して、また比較して…。1時間使えば1時間分の給与が乗る。時給2,000円の人が3時間ECを比較していたら、それだけで6,000円のコストです。「安く買ったつもりが、実は高くついていた」──広告制作の現場では、こうしたケースが本当に多いです。

 大手企業は、比較的“丸投げ”に近い依頼をします。理由はシンプルで、「工数がかかることを理解しているから」。逆に、単価だけで比べる会社ほど、担当者の時間、社内調整の回数、修正指示の往復といった「見えない原価」を一切カウントしていません。制作物だけ見ている会社と、制作物+工数まで見ている会社では、確実に後者の方が伸びます。全国の企業と取引してきて、これは本当に実感しています。

工数管理の時代に安い=正義は通用しない

 広告業界には、独特の流れがあります。一番良い情報、最初の提案、優先的な対応は、「いつも買ってくれる会社」「適正価格を理解してくれる会社」に行きます。

 逆に、「相見積もりばかり」「とにかく安さ優先」「価格交渉ばかり」──こういう会社には正直、情報が回りません。結果、安さだけを追った会社ほど、長期的には損をするという現象が起きます。これは業界の裏話ではなく、実務の現場で毎日のように起きていることです。

 働き方改革で労働時間が短くなり、どの会社も工数が最重要になりました。つまり、安く買うより時間を失わないことが価値になっているのです。広告においては、とくにこの傾向が強いです。制作物だけ見ている会社は、「自社の工数」「相手の工数」を見落としがちです。反対に、工数まで計算に入れて判断できる会社は、関係が長続きし、優先提案が増え、結果的に成果が出る──この好循環に入ることができます。

 広告の原価とは、商品代だけではありません。社内の調整工数や発注側の検索工数、制作側の修正工数、やり取りにかかる時間、これらすべてが原価です。ここに気づける会社は、必ず伸びます。安い物を買うことが悪いのではなく、「原価の全体像を理解せずに判断すること」が危険なのです。

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 広告は、会社の未来に投資する行為です。「安さ」ではなく「総コスト」を見る。この視点をもてるかどうかで、会社の成長スピードは大きく変わります。安物買いで時間と機会を失うのか、工数を味方にして賢く強い会社になるのか。2026年こそ、考えるべきテーマだと思います。


<プロフィール>
山本啓一

(やまもと・けいいち)
1973年生まれ。大学に5年在学し中退。フリーターを1年経験後、福岡で2年ほど芸人生活を送る。漫才・コントを学び舞台や数回テレビに出るがまったく売れずに引退。27歳で初就職し、過酷な飛び込み営業を経験。努力の末、入社3年後には社内トップとなる売上高1億円を達成。2004年、31歳でエンドライン(株)を創業。わずか2年半で年商1億2,000万円の会社に成長させる。「エッジの効いたアナログ販促」と「成果が見えるメディアサービス」でリアル店舗をモリアゲる「モリアゲアドバイザー」として、福岡を中心として全国にサービス展開中。

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