化血研に業務停止命令~過去最長の110日間
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厚生労働省は、今月中にもワクチンや血液製剤の日本有数のメーカーである一般財団法人「化学及血清療法研究所」(熊本市:以下化血研と呼ぶ)に対し、医薬品医療機器法に基づき業務停止命令を発令する方針を固めた。
化血研は40年以上にわたり製造記録を偽造するなど隠蔽工作をしながら、国の承認書と異なる不正製造を続けていた。発覚のきっかけは内部告発だった。厚労省によると昨年5月に化血研の職員を名乗る匿名の投書が届いたため、この情報をもとに抜き打ち調査を実施。不正が明らかになったという。
事態を重く見た厚労省は、詳細な内部調査を実施するよう求めていたが、同社が設けた第三者委員会(委員長・吉戒修一元東京高裁長官)は、先月2日、厚労省の専門家委員会に「常軌を逸した隠蔽体質」と指摘した調査結果を報告していた。
調査から新たに(1)動物用医薬品についても国の承認と異なる方法で製造。(2)医薬品の原料で生物テロにも使われるおそれのあるボツリヌス毒素を運ぶ際に必要な届け出を怠っていた。 ことなど杜撰な管理体制が次々と発覚。業務停止命令
厚労省は化血研の弁明を聞いた上で、正式に処分を決めることにしているが、業務停止期間は、1994年に抗ウイルス剤「ソリブジン」の薬害事件で日本商事(当時)が受けた105日間を上回る過去最長となる見通しだという。
塩崎恭久厚労相は、12月25日の記者会見で、「隠蔽工作は医薬品の製造販売業許可の取り消し処分に相当する。これを踏まえた行政処分が必要」と厳しい指摘をする反面、「化血研の血液製剤やワクチンには国民の健康確保や医療に不可欠な製品もある。品質や安全性を確保した上で、製造を継続できるようにしなければならない」とも発言。
ここで見過ごせないのは「代替品がない血液製剤やワクチンについては業務停止の対象から除外する」方針を示し、化血研の営業継続を認めていることだ。問われる国の責任
果たして業務停止命令で良いのだろうか。 ワクチンや血液製剤は一般の食品偽装とは違い、人体に直接影響を与える製品であり、そのために国の厳格な承認受けて製造することを義務付けられている。たとえ偽装によって人体に直接的な影響はなかったにせよ、それに違反した偽装工作は業務停止命令ではなく、『許可の取り消し処分』が妥当のはず。 厚労省は化血研が他の会社で代替できない血液製剤やワクチンを製造していることを理由に「業務停止処分」で収束を図ろうとしているが、国の管理責任を認めたくないばかりに「過去最長の110日間」で、ケリをつけようとしているのではないだろうか。
【北山 譲】
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