西部ガスHD研究(4)揺れるグループ会社・九州八重洲(園田社長の見解編)
自らのコミュニケーション不足を反省
西部ガスホールディングス(株)傘下の九州八重洲(株)では今、告発文書の外部への流出など社内体制が揺れている。(株)データ・マックスでは、入手した内部文書に関する周辺取材を実施。その一環として、園田一史社長に現状についてどのような見解をもっているのかを聞いた。園田氏は西部ガスHDの事業開発部部長を経て、2024年4月1日から代表取締役社長に就任している。
まず、告発文書への認識について聞いた。前出のように25年12月中旬に、親会社(西部ガスHD)に告発文書が届き、時を置かず園田社長に伝えられたという。「内容を重く受け止めており、自らのコミュニケーション不足やビジョンの発信不足を反省しています。文書を受けて、ホールディングスが全社員に対してヒアリングを実施しており、そのフィードバックを踏まえ改善を進めます」と述べた。
文書には人材流出への懸念が強く表れている。園田社長は「直近1年間で14名もの社員が離職(予定も含む)しているのは事実で、社員数30~40名規模の会社としては非常に大きな数字。離職理由には独立や結婚など個々の事情がありますが、経営陣として彼らと深く対話することで引き止められた可能性があったと感じています」と述べた。
ただ、「過去にも1年で10名以上の社員が辞めた年があり、昨年が飛び抜けて多いとは考えていません」とも述べていた。そのうえで「社員との対話を通じて“辞めない会社”を目指していたなかでの出来事であり、衝撃を受けています。残った社員や現場には過度な負荷がかかっており、早急な体制整備が必要と考えています」と語っていた。
大量離職が経営悪化を招いているのではないか。その質問に対し、園田社長は「23年3月期に売上高65億円となったのは特殊な土地取引があったため。社長就任前は20~30億程度、就任1年目となった25年期は33億円でした。26年期も34~35億円を見込んでおり、業績が著しく低迷しているという認識はありません」と強調。また、年間の引き渡し戸数も、就任前の36戸から、25年期、26年期ともに40戸を超える見込みであり、「メンバーは厳しい状況下で頑張っています」と評価していた。
大きく変わる住宅市場のなかで
同社では、従来の注文住宅(売建)中心から、コストパフォーマンスを重視した分譲住宅(建売)中心へと事業の軸を移そうとしている。この流れのなかで顧客や協力会社を大切にする企業風土が失われつつある、などと文書には記述があった。そしてこのことが九州八重洲の強みの喪失につながり、そのため「経営ビジョンが欠けている」との指摘につながっているものとみられる。
園田社長は「福岡の市場が縮小傾向にあることを受けたもの。具体的には、土地価格や建築費の上昇により顧客はコスパやタイパを重視するようになり、それが注文住宅からデザインや性能に力を入れた建売住宅へとシフトしている理由」であると語った。「土地仕入力の低下」を懸念する指摘については、「今期の土地仕入目標に対し、ほぼ達成できる状況にあります」と述べていた。
25年に3度の組織変更が行われ社内が混乱したことも、ビジョンの欠如と指摘される要因の1つである。園田社長は「住宅市場はかつてとは大きく変化しています。そうした状況のなかで、私は失敗を恐れず挑戦するトライアンドエラーの精神で組織づくりをすることが大切だと感じています。今後は自らのミッションをしっかり発信し、社員との対話を重く受け止めて取り組みたいと考えています」と話していた。
次回は、九州八重洲の混乱の真の要因に迫る「まとめ編」と題する記事を掲載する。
【特別取材班】








