成長戦略根本否定が『日本経済復活の条件』
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NETIBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、販売が開始されたばかりの植草一秀氏の著書『日本経済復活の条件-金融大動乱時代を勝ち抜く極意-』について触れた、1月10日付の記事を紹介する。
拙著『日本経済復活の条件-金融大動乱時代を勝ち抜く極意-』の販売が開始された。
楽天ブックスでは、発売開始日翌日である1月8日に経済・財政ジャンル30,081点のなかで、ベストセラー・ランキング第1位を頂戴した。多くのみなさまのご購読に心から感謝を申し上げる。楽天ブックスでは、なぜか、1月9日には、ベストセラー・ランキングの表示対象から外された。「売れてはいけない本」が売れてしまったため、表示対象から外されたのか。真相は定かでないが外された。本日、1月10日には対象に復帰したようだが、拙著の販売については、これまでもさまざまな妨害工作的な動きがあったので、今後も警戒してゆかねばならない。
アマゾンサイトには、すでにブックレビューが掲載された。アマゾン・トップ1000レビュアーである中西良太氏がレビューを掲載下さった。厚く感謝の意を表したい。その一部を転載させていただく。
本書は、世界の政治経済社会情勢の動向を精緻に把握し、投資戦略に活用する為であると同時に、学者的良心として単純な株価上昇に歓喜する投資家達に日本経済全体の推移が、如何に株価上昇と乖離しているかを同時に明示しています。
折衷的な記述ではなく、見事に政治経済両面の分析が融合した論旨の展開で、史上最高の完成度です。
単なる巷間に氾濫する安っぽい投資指南本ではありません。ヘーゲル的な体系知の持ち主である植草さんの批判的分析は、日米中を主軸にし、金利・為替・株価の国際的な発展推移の比較において展開されています。ここでは主としてチャイナリスクの正体、アベノミクスの正体(日本経済の実態)、日本経済復活の条件です。その論述で本書の導きの糸となるのが、官製相場を念頭に置いた以下の基本的命題です。
植草さん:株式市場は情報の集積場である。経済統計は人為によって創作されるバーチャルな変数だが、株価は多数の市場参加者の行動によって形成されるリアルな変数である。その決定には、無数の情報、奥深い情報が関与する。著名人も有識者も関係ない。リアルな現実、リアルな情報が折り重なって株価が決定される。これは、為替レート、債券価格についても当てはまる。この意味で、一般の経済指標とは全く異なる属性を有するのである。(p.254)植草さん:安倍政権の経済政策の根幹をなすのが成長戦略であり、この成長戦略こそ、日本の主権者をさらに厳しい経済状況に追い込む「真綿」の役割を担うものである。(p.195)
資本主義社会の不況は、企業の生産能力と最終需要である個人消費のバランスの崩壊です。安倍の経済政策は、短期的には資本家達の利益を増大させますが、中長期的には日本の広範な生産活動の担い手である労働者階級の消費能力を現在よりもさらに減退させ、その存立自体を不安定化させるものです。このようなアベノミクスとは何か?
植草さん:アベノミクスは、労働者の処遇を引き下げる事を根幹に置くから、消費主導の経済成長は実現しようがない。そこで、打開策として、働く人数を増やす事を考えたのだ。全ての働ける人間を低賃金の労働に引きずりだす。そのことによって、GDPのかさ上げを図る。これが、「新三本の矢」であり、「一億総活躍 」の意味である。正確に表現するなら、「一億総動員 」だ。そして、生産年齢を過ぎた国民には、できるだけ早くに死んでもらう。これが、医療自由化の狙いでもある。低所得者には十分な医療を提供しない制度に移行する。この人々が早く死んでくれれば国の社会保障支出を節約できる。
「一億総動員 」と「一億総棄民 」が「新三本の矢」の正体だ。(pp.197-198)ぜひ、ご一読賜れれば誠に嬉しく思う。
※続きは1月10日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1336号「軽減税率に関して流布されている二つの風説」で。
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