アビスパ福岡、首位ガンバ大阪に壮絶PK戦の末に勝利!ここから反撃へ

2試合連続のPK戦は「J最長」
14人目で決着

 3月21日、明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンドWEST第8節がベスト電器スタジアムで行われ、最下位に沈むアビスパ福岡は首位のガンバ大阪と対戦した。現在6連敗中と苦境のなかで迎えた一戦は、2-2の激闘の末にPK戦へ。福岡がJ最長となるPK戦を14-13で制し、意地の白星をつかんだ。

 18日には、同じくホームで清水エスパルスと対戦。立ち上がりから攻守ともにアグレッシブな試合展開で試合の主導権を握ったが、一瞬の隙を突かれて先制を許す。しかし、試合終了間際の85分にシャハブ・ザヘディのゴールで1-1の同点に追いつきPK戦に持ち込むが、惜しくも4-5で敗れた。悔しい6連敗となったが、それでも開幕戦以来5試合ぶりとなる勝ち点1を手にしていた。

清水戦で同点ゴールを決めたザヘディ 撮影:ヒデシマ氏
清水戦で同点ゴールを決めたザヘディ 撮影:ヒデシマ氏

 清水戦から中2日で迎えたG大阪戦。勝ち点を獲得した良い流れを引き継ぎたい福岡は2027シーズンの加入が内定しているJリーグ特別指定選手のMF前田快(こころ)と今季新加入のDF山脇樺織(かおる)を初スタメンで起用し、チームに新たな推進力を加えた。

 前節の清水戦同様、攻守に強い姿勢を見せて良い立ち上がりを見せたが、11分にG大阪のカウンター攻撃をくらい先制を許す。早い時間帯に1点を負う苦しい展開となったが、それでも集中力を切らさない福岡は22分、相手キーパーが弾いたボールをDF辻岡佑真が押し込み同点に追いつく。しかし、前半終了間際の42分に守備の連携ミスを突かれ再び勝ち越しを許してしまう。

 後半に入ると、福岡はセカンドボールへの反応と前線からの圧力で再び流れを引き寄せる。77分には相手のハンドを誘いPKを獲得するが、MF見木友哉のキックは決まらず。

 それでも、ここで崩れなかったのがこの日の福岡だった。清水戦でも見せた、失点後も攻め続ける姿勢は、この試合でも揺るがない。最後の瞬間までゴールを目指し続けた執念が実を結び、後半アディショナルタイム3分、辻岡がこの日2点目となる同点弾。スタジアムは大きな歓声に包まれた。

 試合は2-2のままで終了し、勝負はPK戦へ。互いに成功を重ね、Jリーグ史上最長となる14人目までもつれ込む異例の展開となった。極限の緊張のなか、最後はGK小畑裕馬が相手のキックを止め、福岡が14-13で死闘に終止符を打った。

今季3度目のPK戦。圧巻のセーブをみせるGK小畑 撮影:ヒデシマ氏
今季3度目のPK戦。圧巻のセーブをみせるGK小畑
撮影:ヒデシマ氏

 シュート数ではG大阪の6本に対して福岡が21本と大きく上回り、守備面でも安定を取り戻しつつある一方で、決定機を確実に仕留める精度には依然として課題が残る。それでも、2試合連続で終盤に追いついた粘りと、最後まで攻め続けた姿勢は大きな前進といえる。

百年構想リーグの
“勝利”と“チャレンジ”の難しさ

  明治安田Jリーグ百年構想リーグとは、2026年8月からの秋春制完全移行にともない、2月から6月にかけて開催される半年間の特別大会。カテゴリの降昇格もなく、地域対抗の戦いとなり、リーグ戦とは異なる大会となる。

Jリーグ特別強化指定選手ながら存在感を放つMF前田 撮影:ヒデシマ氏
Jリーグ特別強化指定選手ながら存在感を放つMF前田
撮影:ヒデシマ氏

 Jリーグの理念でもある「地域密着」「人材育成」を体現する場として、若手の起用や戦術的トライが積極的に行われる機会として期待されている反面、短期的な結果と中長期的な成長をどう両立させるかが、この大会の難しさである。そして、そのどちらに重きを置くかはクラブごとに考え方が分かれるところだ。

 そのため、選手層の厚いクラブは戦力を維持しながら勝利を重ね、優勝を見据えた戦いを展開する一方で、新加入選手が多いクラブやカテゴリが上がったクラブでは、将来を見据えた選手起用や、8月のリーグ戦に向けた戦術の幅の拡張など、それぞれの目的に応じた戦いを見せている。

スピードと高さでスタジアムを沸かせるサニブラウン 撮影:ヒデシマ氏
スピードと高さでスタジアムを沸かせるサニブラウン
撮影:ヒデシマ氏

 今季、福岡にとっても、この大会は重要な意味をもつ。監督やコーチ陣が変わり、新加入選手も多いなかで、戦術理解などチームの土台づくりをJ1の戦いのなかで実践できることは、新たなチームづくりを加速させる絶好の機会といえる。実際、開幕戦から重ねた試合のなかで、ビルドアップのかたちや守備と攻撃のバリエーションなど、戦術的なチャレンジがトライアンドエラーでアップデートされている。

 ただし、公式戦である以上、“試す場”であると同時に“結果も問われる場”でもある。現在のクラブ状況を踏まえれば、さまざまなチャレンジに一定の理解はできるが、やはりJ1のクオリティを担保したうえで勝ち続けることが求められる。

 内容は上向きの兆しを見せていたが、6連敗という“結果”がともなわない状況にチームもサポーターもストレスを感じる日々が続いていた。しかし、ようやく今節のガンバ大阪戦で6試合ぶりの勝利を挙げることができ、スタジアムに笑顔が戻った。さまざまなチャレンジを続けてきた成果が徐々に実を結び始めたといえるだろう。

 この大会で積み重ねてきた経験と課題は、新シーズンの戦いに直結する。次のリーグ戦は順位に応じて降格もあるシビアな戦いが待っている。だからこそ、この大会で得た手応えを、次のシーズンへとつながるたしかな自信へと転換させていく必要がある。

 福岡がこの大会をどのように活用して、新たなシーズンへの希望へとつなげていくのか、その戦い方に注目したい。

【川添道子】

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