【新潟県知事選】公約違反(嘘つき)の花角知事陣営、札ビラで県民の頬を叩く利害誘導選挙を始める

 与野党激突の新潟県知事選(5月31日投開票)は、自民・公明・維新・国民民主が支持する花角英世知事と、中道の地元衆院議員や立憲などが支援する野党系元県議・土田竜吾候補との実質的な一騎打ち状態で、最大の争点は、柏崎刈羽原発再稼働問題だ。8年前に花角知事は「(再稼働について)職を賭して県民の信を問う」と訴えて初当選をしたのに、昨年12月、県民に信を問うことなく県議会にはかるだけで再稼働にゴーサイン(地元合意)を出した。そのため、県民に嘘をついたことになる公約違反が県知事選最大の争点に浮上。5月14日の告示日の第一声でも土田氏は、次のように知事批判から訴え始めたのだ。

土田竜吾候補

「花角知事が昨年12月、柏崎刈羽原発の再稼働を了解しました。初当選以来、『職を賭して県民に信を問う』と述べられていながら県議会にその判断を委ねた。県民との約束を反故にした。私は、こんなことを許してはなりません(聴衆から「そうだ!」との声)。私は県民との約束を守る。そして皆さんの思いを形にする。私が県知事になって、皆さんの声を県政に反映すべく全力を尽くしてまいりますことをまずもってお誓いを申し上げます」

 一方の花角知事は、原発再稼働についてほとんど語らない逃げの争点隠し選挙を展開。街頭演説では「県民の声を聞いた」などとさらりと触れるだけで、県民の信を問わなかった公約違反への釈明をしようとしないのだ。そこで告示日の5月14日、花角知事が新潟駅前での第一声を終えて囲みに臨んだ際、声掛け質問をしたが、無言のままだった。

 ──(別の記者)演説のトーンも一段上がったようですが…。

 花角知事(以下、花角) いやいや、そんなことはないですよ。平常心です。

 ──(横田)公約違反知事と言われていますけれども、県民を騙した後ろめたさはないのですか。

 花角 無言(立ち去り始める)。

 ──屋内退避施設完成していないのに(柏崎刈羽原発)再稼働、おかしいと思わないのですか。公約違反知事と言われていますよ。県民を騙した後ろめたさはないのですか。

 花角 無言(スタッフが間に入って接近を阻止する取材妨害)。

花角英世知事

 花角知事の第一声には、支持する自民・公明・維新・国民民主の代表者が勢ぞろいして、街宣車上で入れ替わりマイクを握っていった。
 これに対して土田候補の応援に駆け付けているのは、中道の地元の現職衆院議員や落選議員や立憲の参院議員ら。たとえば、告示日に黒岩たかひろ前衆院議員はこう訴えた。

「花角さんの(県知事選出馬の)動機はたった一つ。原発を再稼働させることでした。(初当選の2018年当時に)明らかに安倍官邸からの指示と、以前の(国交省の)上司であった元経産大臣の二階俊博さんの命を受けて、原発再稼働をさせることだけを動機として知事になった」

 花角知事の正体が浮き彫りになっていく。それは、原子力ムラ(自民・東電などの電力会社・経産省)の意向を受けて花角知事が「県民に信を問う」という嘘を言って初当選し、当初の予定通り県民を騙して原発再稼働にこぎつけたというものだ。「原子力ムラの代弁者で公約違反(嘘つき)知事イエスかノーか」という対決の構図になっているのだ。

 一見すると、自民・公明・維新・国民民主が支持する花角知事が基礎票で大差をつけて優位に見えるが、「公約違反(嘘つき)知事」という汚名がどこまで悪影響をおよぼすのかが不安材料になっている。

 しかも、3月の石川県知事選や4月の練馬区長選でも、政党の基礎票では大きくリードする自民支援候補が連敗した。「高市人気は地方選におよばず」という主旨の記事が相次いで出たのはこのためだが、新潟県知事選も同じパターンになるのではないかと取り沙汰されているのだ。

 こうした悪い流れを断ち切ろうとして、自民党の小林政調会長や西村選対委員長が相次いで新潟入りし、花角知事の応援演説をしている。そんな危機感もあってか、ラストサンデーの5月24日、花角知事陣営は県民の頬を札びらで叩くような利害誘導選挙も始めていた。新潟市内の土地改良区での個人演説会で、古泉こういち市議が片山さつき財務大臣発言を紹介しながら。自民系花角知事が再選されれば潤沢な予算配分が受けられ続けるとして、次のように投票を呼び掛けたのだ。

「私はいま政令市の自民党の役員の副会長を仰せつかっています。全国で20の政令指定都市があります。そこで自民党でよく会合をしますが、一番大きなことと言いますと、(政令指定都市で)知事と市長が自民党だというのは新潟だけなのです。だからよく片山財務大臣が『新潟にはしっかりと予算をつけやすい。ぜひ、いろいろ皆様方の意見を拾って持ってきてください』という御意見をいただきます。確かに非常にこの新潟、予算をかなりいただくことができています」

 そして最後にこう締めくくったのだ。「そのためにはどうしても花角さんに引き続き知事の席にいていただかなくては困ります」。

 公職選挙法は、有権者への利害誘導を選挙違反の一つとして例示している。

「特定のあるいは限られた範囲の有権者や選挙運動者に対し、その者又はその者と関係のある団体(寺社、会社、学校、組合、市町村等)に対する寄附などの特殊の直接利害関係を利用して投票を誘導した場合に成立します。また利害誘導に応じたり、利害誘導を促した場合も処罰されます」

 これを今回の新潟県知事選に当てはめると、自民系首長の地域の有権者に対して、片山財務大臣の予算優遇措置発言を利用して投票を誘導したことになるように見える。とすれば、古泉市議発言は公選法違反となる可能性があるに違いない。もし片山大臣が「こうした発言はしていない」と否定した場合でも、今度は公選法の虚偽事項公表罪に抵触する可能性が出てくる。どちらにしても選挙違反に問われかねない問題発言が花角知事陣営から飛び出していたのだ。

 花角知事陣営のなりふり構わぬ選挙戦が成功するのか失敗するのか、5月31日の投開票結果が注目される。

【ジャーナリスト/横田一】

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