中国が新5カ年計画を採択 持続可能な経済に転換

中国経済新聞 2026年3月号掲載記事にデータ・マックスで編集を行ったものです。

 ともに北京で開催されていた中国人民政治協商会議第14期全国委員会第4回会議と第14期全国人民代表大会第4回会議が、それぞれ3月11日、12日に閉幕した。「両会」と呼ばれるこの会議は今回、「第15次5カ年計画」(2026~2030年)のスタートとなる大切な時期での開催となり、とくに意義深いものだった。会議では、中国の特色ある社会主義の偉大な旗印を掲げ、習近平国家主席による新時代の中国の特色ある社会主義思想を深く徹底させ、過去1年間の経済や社会の成果を全面的に総括し、「国民経済と社会の発展への第15次5カ年計画ガイドライン」を審議し、政府活動報告を承認し、向こう5年間への取り組みを示すことに力を注いだ。

 中国は2025年、「第14次5カ年計画」の主な目標や課題を成し遂げ、経済面での強さや順応性を見せつけた。国内総生産(GDP)は成長率5%で総額140兆元を超え、都市部の新規雇用者数が1,267万人、失業率は平均5.2%、一般消費財の小売総額は50兆元以上、食糧生産は約7億トン以上で安定した。いずれも並々ならぬ結果であり、逆境に強く活力を秘めた中国経済をアピールした。

 そしてさらに、新たな質の生産力が形成されている。AIやバイオ医薬品、ロボット、量子技術などの開発は世界の先端を走り、半導体の開発も一段と前進した。ハイテク製造業の付加価値は9.4%増、新エネルギー車の生産台数は1,600万台以上、電気自動車の充電設備は2,000万か所を超えた。また全社会の研究開発費の投入度合いは2.8%、デジタル経済や主力産業の付加価値がGDPに占める割合は10.5%以上に達した。政府は前向きなマクロ政策を実施し、消費財の下取り策による売上高は2兆6,000億元以上、設備の更新による投資額は11.8%増であった。不動産や株価の安定、債務リスクの緩和も進み、「物件引き渡し」の課題もほぼ達成した。こうした一連の政策でマクロ的な安定をもたらし、市場の期待感も高まった。また、日本との戦争の勝利80周年記念や「台湾光復記念日」の設立で民族の団結力を一層強め、外交面ではアメリカとの首脳会談で重要な合意に達したことで米中関係を安定させた。

 「第15次5カ年計画」ガイドラインは向こう5年間の成長への行動指針であり、質の高い発展への優先課題を強調し、新たな質の生産力を伸ばし、先進製造業を柱とした近代的な産業体系を整備するとのことである。また引き続き内需拡大を基本線に据え、国内経済を一段と循環させ、国民の共同富裕を推進し、生産年齢人口における平均就学年数を11.7年まで伸ばし、平均寿命を80歳とし、高齢者施設における介護型の収容数割合を73%とする。さらに低炭素化への転換も推進し、GDPあたりの二酸化炭素排出量を17%削減、食糧の総合生産力を7億2,200万トン前後とし、エネルギーの総合生産力を標準炭換算で58億トン前後とする。ガイドラインでは、新たな質の生産力、インフラ、都市・農村部の融合、生活保障、エコ化改革、国家安全保障などで計109件の主要プロジェクトを指定した。現時点に立脚して長期的な視野をもち、科学的・実務的で将来に柔軟性を残すものであり、複雑な情勢を正確にとらえ、国民の利益を気遣う共産党中央の姿勢を十分に示している。

 「第15次5カ年計画」の1年目である2026年の政府活動報告は、経済や社会の発展への全体的な狙いや政策方針を示している。「安定の中で前進」を引き続き基本線とし、発展と安全の両方を念頭に、より前向きなマクロ政策を実施し、内需を拡大し供給面の改善を続け、地域に合ったかたちで新たな質の生産力を伸ばし、全国で一本化された市場の整備を本格推進し、雇用や企業、市場、見通しを安定させる。経済成長率は4.5%~5%とし、実際の活動でより良い結果を求めて努力する。都市部の失業率は5.5%前後、新規雇用者数は1,200万人以上、消費者物価指数は約2%増、個人所得の増加分を経済成長と同レベルとし、食糧の生産量は7億トン前後、GDPあたりの二酸化炭素排出量は約3.8%削減する。これらの目標範囲は実務的かつ慎重で、国外の不透明性や国内の構造的な改革を踏まえた上、構造調整やリスク防止、改革実施へゆとりをもたせている。2035年までの長期目標に見合ったもので、目の前のスピードを求めずに質の高い持続可能な成長を求めるというシグナルを発している。

 これらの全体政策は目標達成への「下支え」であり、極めて大がかりなものだ。財政政策は引き続き前向きなものとし、赤字率は4%前後として赤字額を前年より2,300億元多い5.89兆元とする。一般公共予算の支出額は約1兆2,700億元増えて初めて30兆元に到達する。「2大整備」(主要プロジェクトと主要分野の安全保障整備)や、「2大活動」(設備更新と消費財の下取り)に向け、超長期国債の発行額を1兆3,000億元とする。さらに国有大手銀行の資本補充分として3,000億元分の特別国債を発行し、また主要プロジェクトや債務の借り換え、未払い勘定の消化へ地方特別債を4.4兆元発行する。

 政府活動報告では、2026年の活動内容について10項目に分類し、関連性のあるなかで重点を強調している。1つ目は、国内市場を一段と強力なものとする。消費刺激への特別対策を徹底実行し、都市・農村部の所得増計画を策定し、消費財の下取り策実施へ2,500億元分の超長期特別国債を発行し、また内需拡大用の特別予算として1,000億元分の財政・金融共同資金を計上する。さらに商品の消費拡大、サービス消費の向上、現場での消費の活性化、インバウンド消費の改善も進める。そして効果のある投資を見出すべく政府予算から7,550億元を計上し、「2大整備」へ8,000億元分の超長期特別国債を発行し、民間投資の促進へ新たに8,000億元分の政策性金融手段を導入する。

 2つ目は、新たな力の拡大を急ぎ、新たな質の生産力を伸ばしていく。従来型産業を改善し、大規模な設備更新へ2,000億元分の特別国債を発行する。集積回路や航空宇宙、バイオ医薬品、低空経済といった新興産業や次世代産業を育成し、次世代産業への投資・成長とリスクを分担する仕組みをつくる。「AI+」行動を実施し、スマート経済という新たなかたちを打ち立て、インテリジェント・コンピューティング・クラスター(智算集群)や計算・電力シナジー(算電協同)といった新型インフラを整備する。

 3つ目は、高水準での技術的な自立・強化を加速させることで、教育・技術面での人材育成を同時進行し、独自のイノベーション力や主要な基幹技術の開発に力を入れ、大学の学科を見直して大学・学科ともに一流なものとし、人材評価の制度を改革する。

 4つ目は、主な分野での改革である。全国で一本化された市場の整備を本格推進し、「つぶし合い型」の競争を食い止め、要素配置体制の改革を先行実施し、税制、金融、国有企業改革を進展させ、民間経済促進法に関わる政策を整備し、ビジネス環境の改善を継続する。

 5つ目は、ハイレベルな対外開放の拡大である。サービス業での開放実施場所を拡大し、海南島の自由貿易港としての運営をさらに改善していく。また貿易や外国資本の安定化に力を入れ、「一帯一路」の質の高い実務的協力を格上げする。

 6つ目以降は順に、農村の全面振興、新たな都市化と地域の協調、生活の保障、低炭素化への転換、主な分野でのリスクコントロールである。食糧安全保障、農村振興、都市整備、雇用対策、教育・医療・給付金引き上げ、汚染防止策、不動産や債務リスクの緩和などは暮らしに直接関わり、社会の期待に応えるものである。年金受給額のさらなる引き上げや医療費補助金の増額、汚染対策の主な取り組みの継続、炭素取引市場の改善、不動産の「余剰分活用」、債務監視体制の強化といった取り組みは、「国民第一」という理念の十分な表れであり、成長の成果をより多く国民全体へと振り向けていく。

 今回の全人代は戦略性が強いものである。「第15次5カ年計画」ガイドラインと2026年の取り組みは一本線であり、実務性が強く目標達成へゆとりをもたせ、政策も的確で力がある。また国民に沿ったもので、所得増から生活関連事業まですべてが国民中心である。さらにイノベーションに富み、新たな質の生産力やAI+、次世代産業と終始一貫している。そして対外的に開放的で、国内・海外の両面をとりまとめ、ハイレベルな開放と安全な成長の一本化を堅持している。国際環境は複雑で厳しく、国内では大きく転換路線を歩んでいる中国であるが、経済力が十分で潜在力も順応性もあるという特長は不変である。


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