二場元ガバナーの権勢の栄枯盛衰物語(45)、ライオンズ活動の原点に返るべき

世界的な奉仕団体である『ライオンズクラブ』。その慈善運動は社会的に広く認知されている。ところがライオンズクラブの複数の会員から「福岡地区=337-A地区には問題がある」との情報が入ってきた。本来国際奉仕団体としての活動は名誉栄達ではなく、純粋な社会貢献にある。

ライオンズ国際協会337-A地区元ガバナー
二場安之氏

二場氏対応の経緯

 1月より連載を開始してきた本シリーズも、今回で最終回となる。これまで、世界最大の社会奉仕団体であるライオンズクラブにおいて、国政のような権力闘争が水面下で繰り広げられている内幕を明らかにしてきた。

 現在も、当地を管轄するライオンズクラブ国際協会の「337-A地区」(福岡県と長崎県・壱岐対馬)の元地区ガバナー・二場安之氏が国際理事を目指してロビー活動を展開しているが、10年近くにわたり、対立陣営との激しい抗争が続いている。

 連載タイトルを「二場元ガバナーの権勢の栄枯盛衰物語」としたが、もちろん当初から強い影響力を持っていたわけではない。

 二場氏のライオンズ入会は2003年7月である。二場氏を知るライオンズ関係者によれば、14年に元ガバナーで福岡玄海ライオンズクラブの重鎮であった秦三郎氏が逝去して以降、二場氏は「アクティビティ」と呼ばれる日常活動だけでなく、酒席や贈り物などを通じて協力者を増やしていったという。二場氏が「337-A地区」で台頭したのは、12年に福岡玄海ライオンズクラブ会長を務め、同クラブの25周年大会を成功させた頃からである。

 秦氏を知る元ガバナーは「秦さんは、権力志向の強い二場氏を警戒していて、(二場氏に)地位・役職を与えたら大変なことになると述べていた」という。秦氏の予感は結果的に的中することとなった。

 その後、二場氏は、17年にキャビネット幹事、4R(リジョン)リジョン・チェアパーソン(18年)、第2副地区ガバナー(20年)、第1副地区ガバナー(21年)を経て、22年7月から「337-A地区」ガバナーに就任した。入会から約20年で福岡県内のライオンズクラブを取り仕切るリーダーに就任したのである。

6リジョン誕生は最初のつまづき

 話は前後するが、17年の九州北部豪雨で被災した福岡県朝倉市への支援は、二場氏がキャビネット幹事を務めていた時期にあたる。この際、支援金をめぐる不透明な疑惑が指摘されたが、「337-A地区」における権力基盤の確立が進んだのもこの時期にあたる。

 一方で、盤石に見えた二場氏の足元が揺らいだのが、2022年の「6リジョン」分離独立騒動である。当時、出身の福岡玄海ライオンズクラブが所属していた2リジョンから6リジョンを分ける過程で、当時の向井健次ガバナーと二場氏の強引な手法に対し、複数のクラブから異論が噴出した。

 2リジョン内のあるクラブから国際協会に抗議申し立てが行われ、申し立てを行ったクラブと、向井・二場両氏との紛争の調停手続きが行われる事態へと発展した。順風満帆に見えた二場氏にとって最初のつまずきであった。

 なお2リジョンから6リジョンが新たに発足したのは22年7月だが、二場氏のガバナー就任と同時に行われている。6リジョンの関係者は「あえて同じタイミングで行いました」と述べたほど、少なくないメンバーが二場氏と活動を共にできない心境になっていた。あるライオンズ会員は「やり方が民主的な運営とはいえなかった」と語った。

 ここまで読まれた方は、「一方的な批判ではないか」と思われた方もおられるに違いない。記者自身も取材を進めていくなかで、指摘された問題は二場氏だけに起因するものなのかという疑問が拭えなかった。事実関係を正しく伝えることはもちろん、評価も公平に論じるのが筋である。

 福岡都市圏を中心に北九州や筑豊・県南のライオンズ会員やガバナー経験者を含めた役職者に話を聞いていくと、「二場さんは勉強熱心よ。ライオンズの規約や組織をよく知っておられる」との声も複数聞かれた。社会的地位を築いた人が入会するイメージのあるライオンズクラブも、年々女性や若い世代の会員が増えている。ライオンズ会員のある女性が「二場さんは女性に人気があります」と述べていたのが印象に残った。

派閥争いと距離を置く会員の声

 二場氏らのグループとは別に「337-A地区」の重鎮Aに近い人々も「337-A地区」で強い影響力を持っている。先日紹介したガバナーエレクトに就任した別府壽信氏の複合地区議長就任に反対した元ガバナーの多くはAに近い人々である。

 数カ月の取材と連載を通して徐々に「337-A地区」における権力構造が見えてきた。社会奉仕活動を行う団体が世間のイメージと異なり、政治さながらの凄惨な勢力争いが繰り広げられているのが、その実態だ。その影響で退会者が出たり、例会への出席率が低下したりといった負の側面も顕在化している。

 また「私は誰それ派とかそういう派閥争いは関係なく、ライオンズクラブの活動を楽しみながら取り組んでいる」と暗に連載が一面的との声も聞かれた。派閥争いに巻き込まれることで活動がやりにくくなることへの懸念も当然でてくる。

 元ガバナーの中村巧氏は取材に際して「ライオンズのイメージが悪くなりますよね」と懸念も示しつつ、「LCIFの寄付をね、どんどんいうんやけど、一般の人たち、企業・団体はあんなこと(当社連載)を見たら、やっぱりライオンズはこんなものかと思うのではないか」と指摘された。中村氏に「337-A地区」年次大会(4月12日)後に改めてコメントをお願いしたが「みんなライオニズムに基づいて仲良くしないといけない」と強調された。中村氏の思いは少なくないライオンズ会員の思いでもあるだろう。

松村誠ガバナー
松村誠ガバナー

    4月12日にライオンズクラブ国際協会337-A地区(会長・松村誠ガバナー)の第72回年次大会が北九州市の北九州芸術劇場で開催され、県内および壱岐・対馬の会員も含む数百人が集まった。

 次期ガバナーは信任投票で4R・3Z福岡博多ライオンズクラブ所属の別府壽信氏が当選した。有効投票数322票のうち信任投票数、258票と8割が支持したが、64票が不信任投票を入れており、この他無効票が5票、白票も10票あった。別府氏は二場氏に近い。

 ある元ガバナーは「私は反対したが、決定には従うし運営に協力したい」と語ったが、別府氏は冷ややかな反応であったという。組織である以上、意見対立や派閥争いは避けられないが、ネット上に掲載されていた別府氏のガバナーとしての挨拶文を掲載したホームページ(現在は削除)に次のようにあった。

https://www.hb337a.com/governor-ts.html
(当該リンクは4月13日現在削除されている)
私は耳を大きく口は小さくして、ライオンの皆さんとの信頼関係を重視して、サーバントリーダーシップを目指してまいります。

(中略)

 それぞれの地域や世界で困った人たちに寄り添い、思いやりのある奉仕の種を播いてより良い社会づくりを目指します。
 見返りを求めず、当たり前のこととして、人にやさしく思いやりを持って奉仕することが大切なことだと考えます。
 奉仕する者には、徳を積むことを与えられるのではないでしょうか。

 上記の別府氏の表明に誰も異存はないはずである。

別府次期「337-A地区」ガバナー
別府次期「337-A地区」ガバナー

    もう1つご紹介したいものがある。現・国際理事の田名部智之氏がライオンズ・インターナショナルの日本語版に寄稿した一文は、二場氏をはじめすべてのライオンズメンバーに一読いただきたいものであった。以下に紹介する。

 本年度、理事の互選により(一社)日本ライオンズの理事長を拝命しました。最近、日本のメンバーのなかで、外に優しく内に厳しく振る舞う場面を目にすることが多々あります。「外」というのは主にライオンズによる奉仕の受益者、「内」は国内のメンバー(とくに役職経験者)のことです。本来、奉仕のために使うべき時間や労力を仲間同士の争いに費やし、誹謗(ひぼう)中傷や社会的信用をおとしめる行為、ポスト争い、複合地区・地区の役職への固執に腐心する様は、奉仕団体の会員としてあまりに恥ずかしく、見苦しい姿だと思います。ライオンズクラブは多様なメンバーがいる組織なので、考えの違う人や相性の悪い人もいるでしょう。また、活動をしていくうえで、間違いがあったり、力不足なところがあったりもするでしょう。「外」の人に過ちがあっても、我々は快く許すはずです。なぜ同じライオンズの仲間が相手だと許すことができないのか、歩み寄ることができないのかと、不思議に思います。

 45回にわたり続けた連載を終えるにあたり、ライオンズクラブの皆さまにお願いしたいことがある。50歳で国際理事に就任した田名部氏の苦言・警鐘を他人事と考えず、真摯に受け止めていただき、初心に立ち返って次世代の育成を含めたライオンズクラブ活動に取り組んでいただくことを願うものである。

(了)

【近藤将勝】

< 前の記事
(44)

関連記事