全管協名誉会長・高橋誠一氏と自民党政権幹部(当時)の深い関係(5)

 全国賃貸管理ビジネス協会(以下、全管協)名誉会長・高橋誠一氏が、自民党ちんたい支部連合会会長、全国賃貸住宅経営者政治連盟会長として、与党自民党と近い関係にあることを一連の記事で明らかにしてきた。

 『全国組織・全管協を仕切る高橋誠一名誉会長とは(3)石破前首相との近さが示す影響力』では、全管協や職域支部である自民党ちんたい支部連合会のカウンターパートが「自民党賃貸住宅対策議員連盟(ちんたい議連)」であることや、自民党議員のなかでも高橋氏と懇意な間柄にあるのは議連会長を務める石破茂前首相であることを紹介した。

 『全管協名誉会長・高橋誠一氏と自民党政権幹部(当時)の深い関係(4)』では、石破氏が首相時代、高橋氏を厚遇した理由を2点挙げた。

 1つ目は自民党員票だ。総裁選で多くの業界団体が別の候補者を推したが、約4万人の党員(職域支部の党員数)を有し高橋氏が会長を務める「自民党ちんたい支部連合会」が石破氏の支援にまわったことが、石破総裁実現に大きな役割をはたしたとされる。

 2つ目は資金面での支援だ。石破氏の政治資金パーティーのパーティー券を全管協が大量に購入していたことが政治資金収支報告書で確認された。

 『全管協本部における講演で、自民党員拡大を求めた阿部俊子元文科相』では、高市政権が発足する直前の2025年10月14日、全管協本部の会議室で、石破首相の代理として現職大臣である阿部俊子文部科学大臣(当時)が講演を行い、全管協と連携する自民党ちんたい支部連合会が有する4万人の自民党員数が総裁選に大きな影響力をもつことに言及し、政策実現のためにさらに党員数を増やすことを求めていると受け取れる発言をしていたことを取り上げた。

 阿部俊子事務所は、講演した事実を認めた一方で、「事務所として内容は確認しておらず、コメントする立場にない」と回答したが、当社が入手した講演内容によると「ぜひとも皆さま方にこれからもしっかりと政策を可決させていただくために、また、自民党員をぜひとも増やしていただきたいと思うところでございます」と発言していたことを確認している。

自民党員2カ月で2万5,000人拡大要求

 上記記事で、阿部氏の講演が出席していた全管協関係者たちにとって強いプレッシャーになったことに触れたが、実は阿部氏が講演を終えて会場を去った後、出席していた全管協各支部の代表者らから、自民党員拡大について会員企業の負担が大きいとの意見が上がっていたことが分かった。

 具体的にどのようなやり取りが行われたのか、詳細を以下に紹介する。

【自民党ちんたい支部連合会スタッフA】
 皆さま、お手元の資料の5ページ目をご覧いただきたいと思います。今現在の自民党の党員数のまとめを簡単に報告したいと思います。
 現在、自民党のちんたい支部の党員数は2万253名という状況です。先月の段階が1万6,373なので、この1カ月間で3,880名増えたという計算になります。ちなみに、1年前の10月の党員数は2万2,846名ですので、(現時点2万253名は)前年比約89%という状況です。今年(2025年)の目標党員数は4万5,000名、また前年の党員数は3万9,002名でしたので、(現時点2万253名は)目標に対しては45%、前年比でいきますと51%という状況になります。すでに前年の党員数に到達している支部が神奈川、静岡、山梨、岐阜、三重、奈良、大分、鹿児島という状況です。
 きょう、阿部先生からもお話があった通り、さまざまな賃貸の重点政策要望を実現して、オーナーの皆さま、それから入居者の皆さま、そして業者の皆さま、関連会社の皆さまの適正な利益を守るために我々はこの活動を行っていますので、ぜひそのことを念頭に置いて、10月、11月、12月の残りの約2カ月半、党員拡大に、ぜひ皆さまのご協力を賜りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。細かい各支部ごとの数字は、その次のページ以降をご覧ください。では、この賃貸関係、党員関係に関しまして、何かご質問などありますでしょうか。

【全管協会員企業代表A】
 自民党の党員拡大については別に異論はないですけど、このノルマはいかがなものでしょう。僕の知っている限り、九州では結構、党費を立て替えてるんですよね。これ、いいんですか。そういう(ことをやっている)会社、大丈夫なのですか。それと、何人増やせといって、あまりにもノルマが激し過ぎてやっておれないというのが現実ですよ。いかがですか。別に僕、自民党の政策に反対しているのではない。あまりにもノルマが厳し過ぎると。そんな会じゃないでしょ、この会は。

【高橋誠一自民党ちんたい支部連合会会長】
 自民党員を増やすのに当たって、こういうとこを注意してくださいねというのはありますよね。これはちょっとやっちゃいけないと。それについては皆さんにお願いしている。

【自民党ちんたい支部連合会スタッフA】
 そうです。そこは。

【高橋誠一自民党ちんたい支部連合会会長】
 では、どういうふうに。

【自民党ちんたい支部連合会スタッフA】
 たとえば党費の立て替えなどです。これは禁止事項になります。

【全管協会員企業代表A】
 でも、現実立て替えたらどうなるのですか。

【自民党ちんたい支部連合会スタッフB】
 私が皆さまに重々お願いいたしましたことは、党費の立て替えはやってはいけませんよというのは当初から言ってございます。党費の立て替えをすると政治資金規正法に違反するので、やらないでくださいねということはお願いしました。ですが、現実論として、党費を立て替えたりする方がおられたと思いますが、立て替えてやらないとどうしようもならないよという支部が時々我々のほうに答えとして返ってきましたものですから、少し悩みましたが、知恵を出しまして、皆さんが現実に働いて動いてくれている方には日当とか交通費で賄ってあげてくださいと。で、もらった方がそのもらった金をどのように使うのか我々は分かりませんので、そういう使い方をしてくださいと。支部にはその方の領収書をちゃんともらって処理をしてくださいということを皆さんの支部長にはお願いして、そのように現状はやっているつもりであります。

【全管協会員企業代表A】
 チェックしてないということでしょ。

【自民党ちんたい支部連合会スタッフB】
 なかなかチェックはできませんからね。

【全管協会員企業代表B】
 今の取り消したほうが良いですよ。交通費か何かで渡して、それをそっちに回すっていう話なので、取り消さないと今の危ないですよ。

【自民党ちんたい支部連合会スタッフB】
 これは基本的に(自民党)党本部とも相談して、話してあります。現状はそういうことで、今、説明させてもらいました。またご質問があったらお話しさせていただきます。

過大なノルマに会員から強い異論

 これまで自民党員の拡大についてノルマがあり、加盟事業者にとって大きな負担となっている実態があることを指摘してきたが、やり取りを見ると露骨な党員拡大要求が行われていたことになる。

 問題を整理したい。ちんたい支部連側は「今年(25年)の目標党員数は4万5,000名」のうち、現時点で「45%」達成と説明。また、ノルマを達成した支部名を列挙することで、暗にノルマ未達の支部に対して残り2カ月半でノルマを達成するよう依頼している。

 続くやり取りでは、このようなちんたい支部連側の発言を圧力と受け止めた会員企業代表Aが、ノルマの厳しさを訴えるとともに、党費立て替えの実態があることを指摘している。それに対してちんたい支部連会長の高橋誠一氏は、党員獲得について本部は適切に説明しているという趣旨のことを述べたものの、会員が訴えるノルマ負担の大きさに対しては回答しなかった。代わりにちんたい支部連の職員が説明を行っている。

 職員はこのなかで2点重要なことを述べている。

(1)党費立て替えは政治資金規正法違反にあたるので行わないよう求めているとしつつ、「現実論として、党費を立て替えたりする方がおられたと思いますが、立て替えてやらないとどうしようもならないよという支部が時々我々のほうに答えとして返ってきました」と述べており、実態として立て替えが行われていることを認識している様子がうかがえる。

(2)「皆さん(会員)が働いてくれる方には日当とか交通費で賄う」と説明する一方で、全管協の会員が「もらったお金をどのように使うかは我々はわかりませんので、そういう使い方をしてください」と述べ、党費への流用を容認していると受け取れる発言をしている。

 さらに問題なのは、こうした脱法行為を容認した発言は不適切だから取り消すよう求めた会員企業代表Bに対し、「基本的に(自民党)党本部とも相談して、話してあります」と述べ、問題ないとでもいうように無視した点だ。

 自民党は今年4月に25年末時点の党員数が100万3,298人だったと発表した。24年末から約2万5,000人減少している。鈴木俊一幹事長は記者会見で「政治とカネの問題で政治不信がまだまだ強くあった」と述べているが、足元の職域支部の実態を把握しているのであろうか。

 全管協と連携する自民党ちんたい支部の過大な党員獲得ノルマは、事業者を圧迫しさらなる政治不信を惹起させるものであるとともに、党費の立て替えが続発する大きな要因となっている。このような不適切なやり方で党員を増やすことは、全管協にとっても自民党にとっても決して健全な在り方ではない。

(つづく)

【近藤将勝】

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