世界のトップリーダーが取り組む不老長寿の健康法(後)

国際未来科学研究所
代表 浜田和幸

 最高権力者の健康状態は、ときに国家機密となる。とりわけ北朝鮮の金正恩総書記や米国のトランプ大統領をめぐっては、肥満や心血管疾患、加齢にともなう体力・認知機能の低下など、さまざまな健康不安が取り沙汰されている。問題は一個人の寿命だけではない。突然の病気や死が、後継者争いや安全保障上の混乱を引き起こす可能性もある。トップリーダーの健康は、世界政治そのものを左右するリスク要因となっている。

140キロ台ともされる金正恩、
深刻化する健康リスク

 一方、6月8日、9日の2日間、中国の習近平国家主席夫妻を平壌で接遇した金正恩総書記ですが、所々で歩行困難となり、車椅子で移動していたとのこと。

 「肥満」と「過度な飲酒・喫煙」にともなう健康不安説は、日米のインテリジェンス機関が高い関心を寄せ、24時間体制で追跡している最重要の監視対象になっています。

 北朝鮮では厳重な情報管理が行われていたようですが、漏れ伝わってくるのは、先が危ぶまれるような異常な健康実態の数々。

 韓国の国家情報院や米国のCIAは、AIを用いた3次元分析や高解像度サテライト画像(首元の傷跡や歩行の歩幅)、さらには北朝鮮が海外から輸入する医療品・嗜好品の動向から、金正恩総書記の肉体的、精神的変化を分析中です。

 正恩氏の身長は約170cmとみられますが、体重は直近の分析で140kg台に達していると推定されています。
 これは医学上の「高度肥満」に分類され、40代前半という若さとしては、心臓や血管への負担が限界に近い状態に他なりません。

 また、最高級のフランス製ワインやスコッチ・ウイスキーを大量に消費する大酒飲みであることに加え、海外視察や軍事指導中も手放さないヘビースモーカーです。

 情報当局の分析では、これら嗜好品の過剰摂取により「深刻な不眠症」に陥っており、深夜にアルコールと睡眠薬に頼る悪循環が指摘されています。

 金正日総書記(父)、金日成主席(祖父)ともに、死因は心筋梗塞でした。

 金正恩氏の太りやすい体質と不摂生は、この家系の遺伝的弱点(高血圧・糖尿病・高脂血症)を最悪のかたちで加速させているわけです。

 最近の公式映像や写真において、手首や顔の一部に「黒ずみ(斑点)」や、むくみが確認されており、糖尿病の悪化や腎臓・肝臓機能の低下を示す医学的サインではないかと囁かれています。

金正恩「突然死」が招く
東アジアの安全保障危機

イメージ    実は、日本政府が金正恩氏の健康を心配するのは、同情からではなく、彼が突然倒れた瞬間に、東アジアの安全保障体制が崩壊する恐れがあるからです。

 娘の主愛(ジュエ)氏はまだ幼く、公式な後継者として定着しておらず、金正恩体制を実質的に支えている妹の金与正(キムヨジョン)氏との骨肉の争いに発展しかねません。

 その結果、軍部が暴走し、国内で凄惨な内戦が始まるリスクがあります。

 北朝鮮国内が混乱すれば、数万人〜数十万人規模の避難民が日本海をわたって日本の能登半島や沿岸部に漂着する異常事態にもなりかねません。
 日米韓の情報当局は、彼の医療チーム(万寿無疆研究所)の動きを衛星で監視し、いつ「金正恩爆弾」が破裂しても対応できるよう、警戒態勢を緩めないでいるのです。

 正恩氏の「肥満と大酒飲み」は、単なる私生活の不摂生ではなく、「東アジア最大の地政学的時限爆弾」そのものですから。

80歳を迎えたトランプ、
高まる健康不安と延命競争

 ところで、トランプ大統領の健康を危惧する声も日増しに大きくなってきました。

 去る6月14日に80歳の誕生日を迎えたトランプ大統領ですが、手の甲に厚化粧が施されているようで、その下の濃いあざが透けて見えるため、メディアでは「体調不安説」が賑やかになっています。

 同大統領の奇妙なあざが最初に注目されたのは、25年2月、フランスのマクロン大統領と会談していた時でした。

 説明を求められ、ホワイトハウス報道官のキャロライン・レビット氏は、トランプ大統領は「民衆の味方」であり、「あざは一日中握手をしていたためだ」と釈明。

 しかし、握手する手ではない左手にもあざがあることの説明にはなりません。

 また、いくつかの写真では、彼の足首も明らかに腫れているではありませんか。

 ダボスで開催された世界経済フォーラムに出席した際、トランプ大統領の両手には濃いあざが見られ、とくに左手は黒ずんで変色していました。

 そのことを聞かれると「テーブルで挟んだ」と記者に答えたものです。
 トランプ大統領はほかにも、アスピリン服用が手の痣の原因になっていると主張。

 同大統領の主治医であるバーバベラ海軍大佐は、トランプ大統領が「心臓発作予防」のために1日325mgのアスピリンを服用していると述べています。

 これほど大量のアスピリンは通常、脳卒中患者の再発を防ぐために用いられるもの。

 とはいえ、トランプ大統領は「肉体的にも精神的にも、50年前と変わらないと感じている」と自己PRに余念はありません。

 ただ、最近では、疲れた様子が頻繁に見られ、先の異例尽くしの共和党大会では元気な振りをしていましたが、閣議や大統領執務室での記者会見など、カメラの前で居眠りすることが多くなっています。

 実は、トランプ氏は昨年10月にMRI検査を受けたことを明らかにしましたが、医師が何を調べていたのか、何が見つかったのかについては明かそうとしません。

 トランプ大統領が受けたようなスキャンは通常、既存の心臓疾患やその他の基礎疾患のモニタリングのために要請されるものであり、状況から判断すれば、トランプ氏の健康状態は相当悪化しているものと思われます。

 このように、世界のトップリーダーたちはいずれも健康に問題を抱えているようです。

 しかし、彼らが権力の維持には人一倍関心をもっていることは否定のしようがありません。また、そうした権力欲があるからこそ、あらゆる医療の可能性
を模索しているわけです。

 はたして、現在進行形の延命長寿レースで勝利の座を占めるのは誰でしょうか?

(了)


浜田和幸(はまだ・かずゆき)
国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月自民党を離党、無所属で総務大臣政務官に就任し震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。著作に『イーロン・マスク 次の標的』(祥伝社)、『封印されたノストラダムス』(ビジネス社)など。

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