マンション大規模修繕で談合、公取委が38社に排除措置命令 課徴金は37社計16億3,788万円
28日、公正取引委員会は関東地区のマンション管理組合が発注した大規模修繕工事をめぐり、設計コンサルタント会社と施工業者が受注予定者を事前に決めるなどの談合を行っていたとして、独占禁止法に基づく排除措置命令と課徴金納付命令を出した。違反事業者は実数で42社に上り、このうち38社が排除措置命令、37社が課徴金納付命令の対象となった。
対象となったのは、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県にあるマンションの大規模修繕工事。管理組合が(株)リノシスコーポレーションまたは(株)翔設計に設計コンサル業務を委託し、そのうえで施工業者を選定する案件だった。設計コンサル業務には、建物の劣化状況の調査・診断、設計図書の作成、施工業者選定の補助、工事監理などが含まれる。
リノシスコーポレーションが関与した案件では、施工業者36社と同社が、遅くとも2021年9月以降、工事ごとにあらかじめ受注予定者を決め、それ以外の業者が受注に協力する取り決めを行っていた。施工業者側がリノシスコーポレーションから発注情報を得て受注意向を伝え、受注予定者と同社が協議して、他社が管理組合に提示する見積価格まで決定していた。受注予定者以外の施工業者は、指定された価格で見積もりを提出したり、見積もり自体に参加しなかったりすることで協力していた。さらにリノシスコーポレーションは、設計コンサル業務を通じて把握した管理組合の発注予定金額にあたる「設計予算」などの情報を受注予定者に提供していた。
公取委は、こうした行為によって競争が実質的に制限されていたと認定した。同案件では37社が違反事業者とされ、33社に排除措置命令と課徴金納付命令を出した。課徴金は計9億2,157万円。
翔設計が関与した案件でも、施工業者19社との間で同様の受注調整が行われていた。遅くとも21年11月以降、工事ごとに受注予定者を決定し、他の施工業者が指定された見積価格を提示するなどして受注に協力。翔設計も設計予算などの情報を受注予定者に提供していた。違反事業者は20社で、18社が排除措置命令、17社が課徴金納付命令の対象となり、課徴金は計7億1,631万円となった。
公取委は各社に対し、受注予定者を決定する行為を取りやめたことを確認するとともに、今後同様の受注調整を行わないよう命令。施工業者には独禁法順守に関する行動指針の策定・改定や、営業担当者らへの定期的な研修などを求めた。課徴金の納付期限は27年4月30日。
今回の審査では、リノシスコーポレーションまたは翔設計から施工業者に大規模修繕工事の発注情報が提供され、施工業者が受注した場合、工事請負金額の一定割合に相当する「手数料等」を設計コンサル会社側に支払っていた事実も確認された。公取委は、こうした金銭の授受が施工業者間の自由な競争をゆがめる恐れがあるとして、全国マンション改修設計コンサルタント協会、マンション計画修繕施工協会、日本塗装工業会の3団体に対し、会員への周知などを申し入れた。
マンションの大規模修繕は、区分所有者が積み立てた修繕積立金を原資とするケースが多い。今回の処分は、本来は管理組合の施工業者選定を補助する立場の設計コンサル会社が、施工業者側と受注調整に関与していた構図を公取委が認定した点でも注目される。
マンション修繕の「談合問題」、本紙でも過去に連載
マンションの大規模修繕工事をめぐる問題については、AMT一級建築士事務所代表で一級建築士の都甲栄充氏が、24年から継続的に全4回のシリーズ「タワマン大規模修繕工事をむさぼる長谷工リフォーム その手口の実態」を寄稿。都甲氏は大成建設、住友不動産を経て独立し、マンション管理組合の顧問建築士などを務めてきた経歴をもつ。
【寺村朋輝】










