アビスパ福岡・橋本悠、節目のJ1通算500ゴールも勝利届かず

 明治安田J1リーグ第11節、アビスパ福岡はホーム・ベスト電器スタジアムでガンバ大阪と対戦し、1-2で敗れた。同じ勝ち点7で並ぶ相手との直接対決を落とし、再び降格圏の18位へ。今季8敗のうち7敗が1点差。届きそうで届かない。またしても、その「あと一歩」に泣いた。

勝ち点7で並ぶ、負けられない直接対決

 10月下旬のナイトゲーム。つい先日までの暑さが嘘のように福岡は一気に秋が深まり、ベスト電器スタジアムにも冷たい風が吹き込んだ。それでも、ホームでの勝利を見届けようとサポーターがスタンドへ駆けつけた。

 前節のアウェー町田戦から中2日。勝ち点7で17位の福岡と、同じく7で18位のガンバ大阪。残留争いを考えても、負けられない直接対決だった。

 塚原真也監督は先発を3人変更。出場停止が明けたDF上島拓巳が3バック中央に復帰し、前田快、北島祐二もスタメンに。北島はルヴァンカップ鳥栖戦で鼻骨骨折を負いながらもピッチに立った。

 試合前、塚原監督は「我々、選手も含めて勝つしかないという、そんな重要な一戦」だと位置付けた。

耐えた前半、後半開始早々に落とし穴

 前半は、後方からつなぐガンバ大阪に対し、福岡が5-4-1のミドルブロックを形成。中央を締め、奪えば素早く縦へ。攻撃の起点となったのが1トップの師岡柊生だった。
 22分には見木友哉がミドルシュート。37分には師岡の落としから前田快が狙うなどチャンスをつくった。終盤のガンバの攻撃もしのぎ、0-0で前半を折り返す。

 しかし後半開始早々、落とし穴が待っていた。

 50分、G大阪・宇佐美貴史のロングボールから山下諒也に背後を取られ、その折り返しをウェルトンに決められた。一瞬の隙を突かれ、0-1。

 塚原監督は63分、湯澤聖人に代えて橋本悠、北島に代えて18歳の武本匠平を投入。この2枚替えで空気が変わった。武本が臆することなく仕掛け、前田のロングスローも絡めてガンバを押し込む。
 そして75分。その瞬間が訪れた。

橋本悠の右足。ベススタが沸騰した

 ペナルティエリア手前、正面やや左。福岡が直接FKを獲得した。ボールの前には橋本と、左足の辻岡佑真。

 橋本は百年構想リーグの神戸戦で直接FKを決めて以降、キックへの自信を深めていた。この日の試合前にも、同じような位置から何度もFKを蹴っていた。

 背番号47が右足を振り抜く。鮮やかな軌道を描いたボールが、ゴールネットへ吸い込まれた。1-1。歓喜で沸くベスト電器スタジアム。そしてこの一撃は、アビスパ福岡のJ1リーグ通算500得点目。節目のゴールを決めたのは、途中出場の橋本だった。

「節目に直接フリーキックで決められたことはうれしく思います。でも勝ててないので、もっと自信をつけて、得点というかたちで貢献できたら」

 岡山戦でJ1初ゴールを決め、古巣・鳥栖戦でのゴールに続いて、この日も鮮やかな直接FK。それでも試合後、橋本に笑顔はなかった。ゴールを決めても、チームが勝たなければ喜べない。その表情には、勝たせ切れなかった悔しさが滲んでいた。

 同点直後、塚原監督はウェリック・ポポを投入。勝ち越しを狙う。流れは福岡へ傾き、スタンドの熱気も最高潮に達していた。

 だが、そのわずか3分後。78分、宇佐美がペナルティエリア外から右足を一閃。カーブを描いたシュートがゴールへ吸い込まれ、1-2。
 歓喜から、わずか3分。
 福岡に傾いた流れを、天敵の一振りに断ち切られた。

 直後には辻岡がネットを揺らしたが、ハンドの判定でノーゴール。最後までゴールを目指したが、追いつくことはできなかった。

「あと一歩」を勝ち点に変えられない

 試合後、橋本はサポーターに向けて言った。
「こういった時こそ、これからも最後まで応援してほしい。僕たちはプロとしてそれに応えなければいけないと思う」

 キャプテンの上島拓巳も「大事な一戦でしたけど、こういう結果になってしまって非常に悔しい。結果的に隙をつくって負けてしまった」と悔しさを隠さなかった。

 塚原監督も「内容よりも結果がすべてなゲームなので、そこがつかみきれなかったことが非常に悔しい」と厳しく現実を見つめた。

 福岡のシュート15本に対し、ガンバ大阪は7本。それでもスコアは1-2。
「最後取りきれないところで、逆に一発の背後で取られてしまう。そこは今の弱さが出ました」
 まさに、この試合を象徴する言葉だった。
 チャンスはつくった。一度は追いついた。それでも勝てない。

 今季8敗。そのうち7敗が1点差だ。大きく崩れているわけではない。だからこそ、もどかしい。「惜しかった」では勝ち点は増えない。その紙一重の差を結果に変えなければ、降格圏から抜け出すことはできない。

下を向いている暇はない

 それでも、光はあった。
 18歳の武本の思い切りの良い仕掛け。最前線で身体を張った師岡。そして橋本の同点弾。
 だが、その光を希望で終わらせるだけでは足りない。
 必要なのは、勝ち点だ。

 次戦は中2日。アウェーで最下位・東京ヴェルディと対戦する。18位の福岡に、立ち止まっている時間はない。ましてや、下を向いている暇もない。
 歓喜から3分後に突きつけられた勝負の厳しさ。その悔しさを抱えたまま、次こそ勝ち点3を奪いにいく。
 降格圏から這い上がるための戦いは、もう始まっている。

©ヒデシマ氏
©ヒデシマ氏

【森田みき】

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