
健康上の不安を理由に決断
福岡県筑紫野市の平井一三市長は10月27日、記者会見を開き、2027年1月24日投開票の次期市長選挙に立候補しない意向を表明した。健康上の不安を理由に挙げ、1期4年で市長職を退くことになる。
平井市長は23年2月1日に就任。同年10月に病気の治療で約3週間入院したが、その後は職務に復帰し、市政運営を続けてきた。会見では「現在も大変元気な状況」とした一方、「新たな任期4年間、市民の負託に支障なく応えるには少し不安がある」と説明した。
就任当初は2期8年の市政運営を目指していたといい、「公約の1つを果たせなかったことは大変つらく、断腸の思い」と心境を語った。不出馬については就任初年度の入院以降、頭の片隅にあったとし、今年春ごろから具体的に検討。夏に最終的な決断を下したという。
学校給食無償化など実績を説明
会見では、1期目に取り組んだ政策についても説明した。
子育て・教育分野では、26年度から小中学校の給食を完全無償化したほか、小学校の水泳授業を民間スイミングスクールへ委託。小学校体育館への空調設備設置を完了し、中学校体育館や武道場についても整備を進めている。
公共交通では、民間バス路線の撤退などを受け、AIデマンドバスの導入を進めてきた。行政のデジタル化では、市公式LINEの機能拡充や証明書のオンライン申請など、市民サービスの利便性向上を図った。
観光振興では天拝山の展望環境の整備、地域福祉では重層的支援体制の構築や情報提供サイトの開設などを実施したと説明した。
総合体育館など課題を残す
一方、今後の課題として、市民から要望の多い総合体育館や市民プールの整備を挙げた。総合体育館については市議会の特別委員会で審議が進んでおり、市民プールは民間事業者の活用も視野に検討する段階にある。
このほか、旧市役所周辺などの浸水対策、地域コミュニティの再編、青少年の人材育成、天拝山を起点とする観光ルートの整備などを今後の課題とした。
平井市長は、これらの政策について「まだ途上にある」としながらも、実現するかどうかは次期市長の判断になるとの考えを示した。
後継候補は明言せず
次期市長選への対応については、自身の政策を引き継ぐ考えを持つ人物と接触していることを明らかにした。ただし、具体的な氏名や支援方針については明言せず、「近々、そちらの方から記者発表があると思う」と述べるにとどめた。
また、前回の市長選で当時の現職市長と争ったことによる県議会関係者らとの関係について問われると、一部に複雑な感情が残った可能性は認めながらも、市政運営に大きな支障はなかったとの認識を示した。
平井市長の不出馬表明により、次期市長選では新たな市政の担い手が選ばれることになる。現市政で進めてきた子育て支援や公共施設整備、地域交通などの政策をどう引き継ぐかが、今後の争点の1つとなりそうだ。
【内山義之】
<プロフィール>
平井一三(ひらい・かずみ)
1954年4月、筑紫野市出身。九州工業大学を卒業後、建設会社、コンサルタント会社を経て、2004年10月に家業を継ぐ。07年4月から筑紫野市議会議員を1期務め、11年4月から福岡県議会議員を3期務める。23年2月に筑紫野市長に就任。









