釜山BIPA、福岡でエイジテック商談会 日本先進医療福祉普及会とMOU締結

 韓国・釜山市の財団法人、釜山情報産業振興院(BIPA)は10月29日、ホテルニューオータニ博多(福岡市中央区)で「2026 K-エイジテック グローバル需要先発掘 福岡・釜山エイジテック交流会」を開催した。釜山を拠点とするエイジテック関連企業7社が参加し、福岡市内の介護施設関係者らと商談を行った。また、BIPAは(一社)日本先進医療福祉普及会(福岡市中央区)と業務提携に関する覚書(MOU)を締結。韓国企業が開発した製品・サービスを日本の介護現場で実証し、導入や事業化につなげていく方針だ。

エイジテック交流会の参加者ら
エイジテック交流会の参加者ら

 エイジテック(AgeTech)は、加齢に伴う身体機能の低下や日常生活の不便を、デジタル技術などによって解消・軽減する製品やサービスの総称。高齢者の見守りセンサーをはじめ、歩行・運動支援、認知機能の評価、健康管理など幅広い分野が対象となる。高齢化が進む日本では、介護人材の不足や現場の業務負担が課題となっており、テクノロジーを活用した介護サービスの効率化や高齢者の生活の質の向上が期待されている。

 BIPAは釜山市のIT産業振興を担う外郭機関で、地域企業の技術開発や事業化、海外展開などを支援している。釜山市では現在、韓国科学技術情報通信部と情報通信産業振興院の支援を受け、5年間で総額約270億ウォンを投じる「海洋文化都市基盤エイジテック実証拠点造成事業」を推進している。同事業では、人工知能(AI)などを活用した高齢者向け製品・サービスの開発や実証を支援し、釜山をエイジテック産業の拠点として育成することを目指している。

 今回の福岡での商談会も、その海外市場開拓に向けた取り組みの一環として開催された。BIPAは、釜山と地理的に近く、高齢化という共通の課題を抱える福岡を、日本市場への展開を進めるうえで重要な地域と位置付けている。商談会には福岡市内の介護老人保健施設や有料老人ホームなど18施設が参加し、韓国企業とのビジネスマッチングが行われた。

 交流会のなかで行われたMOU締結では、BIPAと日本先進医療福祉普及会が、釜山のエイジテック製品・サービスについて日本国内の介護施設で実証を進め、実用化や事業展開につなげていくことで合意した。日本の介護現場で実際に製品を使用し、利用者のニーズや施設の運用環境に適合するかを検証することが、今後の事業展開に向けた重要な過程となる。

MOU締結式の様子
MOU締結式の様子

 訪日団を率いたBIPAのパク・ギョンウン戦略事業チーム長は「釜山と福岡は距離も近く、高齢者の比率も近い。釜山のサービスを福岡の施設で実証し、世界に広げたい」と述べ、日本市場での実証を通じて海外展開を加速させる考えを示した。

 BIPAはこれまでにも日本国内の医療機関などとの連携を進めており、今年5月には岡山県の医療機関とエイジテック分野での実証協力に関するMOUを締結している。今回の福岡での取り組みにより、日本国内における実証・事業化のネットワークをさらに広げることになる。

 なお、今回の商談会の運営は、福岡市に本社を置く(株)エントリーサービスプロモーションが担った。同社は1975年創業で、人材派遣やイベント企画・運営などを手がける。韓国・釜山市とは長年にわたる交流実績があり、93年の大田(テジョン)国際博覧会を契機に韓国との事業交流を重ねてきた。2015年と17年には「釜山国際FOOD EXPO」の九州・福岡特別館の企画運営も担当した。

 同社の新井洋子社長は福岡・釜山フォーラムのメンバーとして両都市の交流に携わってきた。今回の商談会でも、これまでに培った人的ネットワークを生かし、韓国企業と福岡の介護事業者との橋渡し役を担った。

 高齢化という共通課題を抱える福岡と釜山。今回のMOU締結と商談会を通じ、両都市の経済交流はエイジテックという新たな分野にも広がりを見せている。今後は商談で生まれた接点を具体的な実証事業や製品導入につなげられるかが焦点となる。

【松下森音】

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