「マイナス金利政策」を導入する日銀の賭け(後)
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日本銀行は1月29日に開催された金融政策決定会合の政策委員会で、2%の物価目標を早期に実現するため、「マイナス金利政策」を導入することを決定。それを受けて午後の証券市場は大きく反応した。
日本銀行がホームページで「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を公表すると、ドル円は119円台前半から、一時121円台前半へと円安が進んだ。以後は乱高下を繰り返しながらも、前日比で円安・株高の展開となった。日経平均株価は前日比+476円85銭の1万7,518円30銭と大幅に値を上げて取引を終えた。その後の株価の動き
◆2月1日 週明けもその流れを受けて、日経平均株価は前日比+346円93銭の1万7,865円
23銭と大幅に値を上げて取引を終えている。
◆2月2日 マイナス金利の狂騒から目覚めたかのように、日経平均株価の始値は▲148円71銭と大幅な下げとなったものの、その後は値を戻し、前場は▲53銭の1万7,864円70銭。後場
に入ると下げ幅が拡大。結局終値は前日比▲114円55銭の1万7,750円68銭で引けた。このまま落ち着くのか。それとも2万台を目指すかどうか。明日以降の動きが気になるところといえよう。マイナス金利政策導入の背景について
黒田総裁は2013年3月に就任した際、「2-2-2プログラム」を提唱。これは2年間で、2%のインフレ率、マネタリーベースを2倍にして日本経済の再生を図るというものだった。
しかしそれから約3年近く経った2016年の年明けから、中国経済の減速にともなう新興国経済の不透明感の強まりや原油安・円高による金融市場の不安定化などが顕著となり、世界同時株安と共に、日本経済はむしろ「デフレ」が懸念される事態となったのだ。
そこで黒田総裁は、「2%の物価安定目標」の達成が遅れていることへの危機感から、「マイナス金利導入」の追加緩和に踏み切ったというのが真相のようだ。
今回の政策の根幹となる「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」について、日銀が公表した骨子は下記のようになっている。・金融機関が保有する日本銀行当座預金に▲0.1%のマイナス金利を適用する。今後、必要な場合、さらに金利を引き下げる。
具体的には、日本銀行当座預金を3段階の階層構造に分割し、それぞれの階層に応じてプラス金利、ゼロ金利、マイナス金利を適用するとしている。
・例外として、貸出支援基金、被災地金融機関支援オペおよび共通担保資金供給は、ゼロ金利で実施する。従来の金融緩和策
・年間約80兆円のマネタリーベースを維持するとともに、長期国債の保有残高を増加させるこれまでの方針は維持する。
・ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)の買入額も据え置く。
日銀は今回の「マイナス金利政策」によって、今後、量・質・金利の「3つの次元」の緩和手段を
を駆使して金融緩和を進める、としている。果たして黒田日銀総裁の思惑通りにいくのだろうか。(了)
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