2024年12月23日( 月 )

知性を備えたロボットが人間の仕事を奪う?(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

igo 英国のベンチャー企業であるディープマインド社が開発した囲碁のコンピューターソフト「アルファ碁」は世界で初めてプロ棋士を相手に勝利を収め、大きな話題になっている。コンピューターが人間のように考える「人工知能」の研究が進み、そこから得た成果である。チェスや将棋と違って、囲碁でプロ棋士に勝つのは容易ではないとされていたが、ついに囲碁の分野でもコンピューターが人間に勝つようになった。コンピューターは単純に計算するだけでなく、人間のように膨大なデータを学習して判断能力を高めるようにする手法が導入され、勝利につながった。

 また、ネスレ日本(株)は売り場での接客にヒト型ロボットの導入を発表し、話題になったこともある。世界初の感情認識ロボットで、ソフトバンクグループが開発したものである。ロボットが人間の代わりに労働をする具体的な事例で、今後、労働市場の変化を予見させる出来事となった。
ロボットは進化を続け、今後、様々な場面で活躍することが予測されている。日本でロボットというと鉄腕アトムがまず連想され、ヒト型ロボットが頭に浮かぶことが多いが、実は今現場活躍しているロボットのほとんどは産業用ロボットである。

 なぜロボットが普及していくと予想されるだろうか。ロボットは普及台数が増えるにつれて価格が下がりつつある。その反面、中国などでは人件費が上昇しており、今までロボットが導入されていなかったところにもロボットの導入が進むことは考えられる。ロボットはコストの面だけでなく、いろいろな導入メリットがある。複雑で繊細な作業では、ロボットの方が人間より優れている場合も多い。たとえば45度の角度で部品をつけるとしたら、ロボットは人間よりミスが少なく、効率的に作業することができる。加えて、複雑な作業工程を人間に習得させることよりも、ロボットならばプログラムを変えるだけで早く対応できるメリットもある。冷凍倉庫または溶接のような、人間には厳しい環境での作業もロボットは苦にしない。人間にはある程度の空間などが必要だが、ロボットなら狭い場所でも作業ができる。さらにロボットの場合は照明もいらないので、エネルギーの消費を減らしCO2の排出の抑制につながる。ロボットはエラーがほとんどなく、ムダも少なくなるので生産性の向上に貢献できる。ロボットが厳しい仕事を代わってくれるので、結果的に人間は安全で快適な空間で仕事をすることになる。

(つづく)

 
(後)

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