2024年11月25日( 月 )

敗色濃厚を安倍一強に書き換える大本営メディア

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 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、安部政権に関するメディアの報道について警鐘を鳴らした2月9日付の記事を紹介する。

 安部政権の下り坂が止まらない。2012年12月の政権発足以来、曲りなりにも「上り坂」が続いたが、昨年6月から8月にかけて頂上に到達。そこから「下り坂」が始まっている。「下り坂」の先には「まさか」が控えている。1942年6月のミッドウェー海戦、1942年8月のガダルカナル島の戦いで日本軍は敗北し、第二次大戦は完全な「下り坂」に転じた。しかし、日本のメディアは連戦連勝の虚偽報道を展開し続けた。

 日経平均株価は、2015年6月24日に20,868円、2015年8月10日に20,808円、2015年12月1日に20,012円をつけた。この株価が2016年1月21日に16,017円、2016年2月9日前引けで16,168円に下落している。

 3A1S(安倍、麻生、甘利、菅)と呼ばれる現在の第2次安倍政権トップ4の一角である甘利明氏が金権スキャンダルで引責辞任した。甘利氏自身が現金受領を認めており、甘利事務所がURに対して口利きを行っていた事実は確認されている。口利きの見返りに現金を受領していれば、あっせん利得処罰法違反に該当する可能性が高い。国会での野党の追及は生ぬるいが、事実は重い。

日銀は安倍政権が任用した5人だけで、マイナス金利導入を強行決定した。政治任用された者が「数の力」で金融政策決定を強行するなら、もはや日銀の独立性など存在しないも同じである。預金者の所得を奪い去るゼロ金利政策・マイナス金利政策を正当化するロジックは存在しない。預金者、生活者、労働者、年金生活者、消費者は、インフレ誘導と円安誘導で損失を蒙るだけで利益を得ることはまったくない。

 「アベノミクスが成功した」という話はメディアが宣伝しているだけで、主権者の実感でも感想でも真実でもない。1942年以降も、日本の戦争は「連戦連勝」と伝えられた。その結果、300万人もの日本国民の生命が奪われた。間違った戦争が強行され、虚偽の情報に踊らされ、300万人もの国民が尊い命を奪われたのである。「安倍内閣の支持率が上昇した」という情報と、「連戦連勝」の大本営発表と本質的に同じものだ。

 主権者は、メディアが垂れ流す「虚偽情報」の真相を掴み、「虚偽情報」に踊らされないように気を付けなければならない。「安倍一強」などと言われるが、これも「虚偽情報」である。2014年12月の総選挙で、安倍自民党に投票した主権者は、主権者全体の17.4%しかいない。6人に1人しか、安倍自民党に投票していないのだ。メディアが作りだした虚構、虚偽情報に踊らされると、1940年代の日本を繰り返すことになる。

 「下り坂」に転じた第2次安倍政権。流れを変えることは不可能であると思われる。アベノミクスがなぜ失敗しているのかと言えば、アベノミクスが国民の幸福を目指していないからだ。アベノミクスが目指しているのは、大資本の幸福である。

※続きは2月9日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1362号「『下り坂』から『まさか』に差し掛かる安倍政権」で。


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