「真心診療」を理念に地域社会に貢献

医療法人心会　会長　吉野　安正

「医療」と「経営」の分離が奏功

　医療法人心会は1999年１月、現在の佐賀県唐津市浜玉町で「吉野はるみ歯科医院」として開業した。その後、2001年には熊本市中央区平成に「熊本こころ歯科」を開設。続けて、翌02年には佐賀県伊万里市黒川町に「黒川こころ歯科」と福岡県古賀市に「古賀こころ歯科」を開設。さらに翌03年には北九州市若松区に「若松こころ歯科」を開設し、業容を拡大していった。
　以降も求めに応じて次々に開設。現在では「博多駅こころ歯科クリニック」「熊本こころ歯科」「伊万里こころ歯科」「古賀こころ歯科」「高須こころ歯科」「宗像こころ歯科」「若松こころ歯科」「心会研究保養施設 心の里」の８医院を運営している。

　短期間で急拡大した要因として挙げられるのが、経営陣の巧みな連携だ。治療現場を取り仕切るのが理事長の吉野晴美氏。きめ細かい丁寧な作業は当初から評判を呼んだ。クリニック名の通り、『地域に根ざした真心診療』をモットーとした応対で患者からの信頼も厚いが、それは現場で働くスタッフからも同様だ。我が子のように心を込めて積極的に関わる姿勢が、明るい院風をつくっている。
　その一方で、経営を取り仕切るのが会長の吉野安正氏だ。同氏は大手食品会社の取締役として辣腕をふるっていたという経歴の持ち主。大型施設内での開業にいち早く取り組み、ブランド力を高めてきた。吉野会長は医療と経営を分離させ、企業体を意識した組織づくりの下、独自のノウハウで盤石な経営基盤を構築させた。それが技術と志の高いスタッフが同院に集まる１つの要因にもつながっていると言える。

必要とされる医療機関を目指して

　歯科医院としては、九州でも大きな連携治療のネットワークを形成した心会。11年に内科、耳鼻科、皮膚科など、あらゆる心療科が集積した博多駅クリニックモールに進出。こちらは吉野会長が取りまとめ役としてクリニック間の連携を図っている。
　同所にある「博多駅こころ歯科クリニック」は開業から患者の数が途絶えることがない。同院には個室タイプの最新鋭ユニットが設置されているほか、診療とは別にカウンセリング専用の部屋を設けている。レントゲンや口腔写真を見ながら、患者にとって最も適した治療の選択や治療内容や今後の治療方針を説明するなど、真心のこもった応対で、患者からの支持をさらに集めている。
　また、急速に普及するインプラントにも専門医として適切なアドバイスを行っている。院長の村田充氏は福岡県内でも数少ない「公益社団法人日本口腔インプラント学会」の専門医だ。専門医だからこそ知る豊富な治療法を採用することで、患者は安心感を覚える。

　「真心診療」の理念は、都心部でのさまざまなサービスにとどまらない。地方都市では高齢者に配慮した治療を行っている。介護施設への訪問診療などだ。寝たきりや身体の不自由な患者たちは、クリニックに足を運ぶことが困難な状況にある。そこで、歯科医自らが介護施設へ赴くことで、治療が行える環境をつくり出した。この取り組みは、利用者のみならず施設スタッフからも好評を得ている。今後も訪問先は随時増やしていくようだ。
　医療業界を取り巻く環境が変化する一方で医療制度の改革も進むなか、地域の医療機関が果たすべき役割はますます大きくなっている。心会はそうした状況のなかで、地域を代表する医療機関として患者の期待に応え、支持される存在となるべく日々邁進している。

※記事内容は2015年８月31日時点のもの

＜INFORMATION＞
医療法人心会
会　長：吉野　安正
所在地：福岡県古賀市天神2-5-1 サンリブ古賀店2F
本部事務局：佐賀県唐津市浜玉町東山田1035
創　業：1999年１月
資本金：900万円
ＴＥＬ：0955-56-6061
ＵＲＬ：http://kokoro-dental.sub.jp/

＜プロフィール＞
吉野　安正（よしの　やすまさ）
1946年７月28日生まれ、長崎県出身。大手食品会社の取締役を務めたという異色の職歴を持つが、その時代に培ったノウハウを現在のクリニック経営に生かす。趣味はゴルフ。