今、福岡が考えるべきアジア諸国との関わり方

（株）電子商事　専務取締役　中野　明子

　2013年７月、政府はタイ、マレーシア、ベトナム、フィリピン、インドネシアなどの東南アジア５カ国についてビザ発給要件の緩和を行った。14年の外国人入国者数は約1,415万人で、前年と比較すると約289万人の大幅な増加を記録している。台湾・韓国・中国などがトップを占めるが、上位10カ国には前述の５カ国がランクインしている。海外留学や海外勤務の経験を持つ（株）電子商事の中野明子専務取締役は、アジア諸国との関わり方が変わってきていると話す。（以下、談）

今、タイ人に九州がアツい！

　まちを歩いていると、東南アジア系の観光客を目にする機会が増えたと思いませんか。ビザの発給要件が緩和されたことがきっかけで、日本を訪れる東南アジア人が年々増えています。北海道がラベンダーと雪のPRでタイ人にブームを巻き起こし、注目を集めました。実は今、九州でもブームが起きつつあります。その要素の１つとして挙げられるのが、タイの人気ドラマが九州で撮影されたこと。主なロケ地となった佐賀県を中心に九州を訪れるタイ人が増えているのです。福岡県は日本のなかでも認知度が高まりつつありますが、まだまだドル箱と呼ばれるような観光スポットと同じようにはいきません。福岡県には福岡県なりの売り込み方が求められているのです。

魅力溢れる都市・福岡

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（株）電子商事 中野 明子 専務取締役

　イギリスのライフスタイル系雑誌「モノクル」が発表した、2015年「最も住みやすい都市」ランキングで福岡は12位にランクインしています。私は、イギリス、タイ、東京に住んだことがありますが、やはり福岡は住みやすいですね。ほかの場所と比べて感じるのは、福岡はすごくコンパクトな都市だということです。福岡は都市機能が充実していて、天神や博多駅周辺はオシャレで近代的なのに、車で少し走ると田舎の風景が広がっています。都市部と田舎の融合具合がこれほどまでにちょうど良いところは、珍しいと思います。

　また、交通インフラが充実していてアクセスが良いこと、とくに空港から天神・博多駅エリアが近いことは、県外から商談にやって来るビジネスマンにとって非常に魅力的です。観光面で言えば、県内の観光地だけでなく九州各地の観光スポットへの移動手段が充実していることや物価の安さ、食べ物の美味しさも大きな強みとなっています。

　福岡にはすでに誇るべき魅力がたくさんあることは、おわかりいただけたと思います。福岡に欠けているのは、魅力のアピールです。良いものは良いと積極的に訴えて、今以上に福岡ファンを増やすこと、「また来たい！」と思ってもらえるようなきめ細やかな対応を進めていくことが重要だと思います。

公園にトレーニングマシーンの設置を

　これは、私が韓国に行った経験から考えたちっぽけな提言です。実は韓国の公園には必ずと言っていいほど、トレーニングマシーンが設置されています。トレーニングマシーンを使って老若男女問わず体を動かしている光景は、見ていて気持ちが良いものです。また、そこで生まれたコミュニティは、人々を心身ともに健康な状態へと導くでしょう。安全や管理の問題などもあるとは思いますが、長い目で見れば、日本人の健康寿命が延び、医療費の削減にもつながると思います。住みやすい都市に選ばれた福岡にはぜひ、全国に先駆けて公園へのトレーニングマシーンの設置を検討していただきたいですね。

※記事内容は2015年８月31日時点のもの

＜COMPANY INFORMATION＞
（株）電子商事
代　表：中野　武志
所在地：福岡市中央区大宮2-6-23 141ビル
設　立：1977年３月
資本金：2,000万円
ＴＥＬ：092-533-5500
ＵＲＬ：http://www.denshi-shoji.net/

＜プロフィール＞
中野　明子（なかの　あきこ）
学卒後、「タイ政府貿易センター福岡」に就職し、2000年からはタイの企業に5年勤務。現在は、父が代表を勤める（株）電子商事で、専務取締役として全般的なマネジメント業務を行っている。