職人たちの将来の不安を払拭し、魅力的な職場に
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(株)カシマ製作所 代表取締役 鹿島 克介
父親から受け継いだモノづくりのDNA
「本当に出来の悪い息子でしたから」。
そう語るのは、プレキャストコンクリート型枠づくりを手がける(株)カシマ製作所の代表取締役を努める鹿島克介氏41歳。
高校を中退した後、型枠職人として腕利きである父のもとに弟子入りしたまではよかったもの、満足な仕事もできず、遊び呆けた末に破門。いくつかの職場を転々とした後に、再び型枠づくりの会社に就職したのは、やはりモノづくりへの関心が消えなかったからだと言う。
「父から受け継いだDNAでしょうね。いろいろな仕事を経験しましたが、すればするほど父と一緒にやった型枠づくりが忘れられなくなるんです。もう一度最初から勉強しようと思って別の会社で約8年。ようやく父と対等に向き合えるようになりました。そこからです、カシマ製作所が法人としてスタートしたのは」。
父親が個人事業主として運営していた工場を本社に。父とは会社経営者と一人親方の立場で、とても良い関係を築けているという。
そんな鹿島氏が父親のもとで働いていた頃からずっと感じていたことがある。それは、職人という仕事の不安定さ、結婚も家を建てることも叶いそうにないという厳しい現実だった。
父親のもとで働いた修行時代に今ひとつ身が入らなかったのも、ひょっとしたらそうしたことが影響をおよぼしていたのかもしれない。大きなビジネスチャンスの到来を予感
「会社を興すにあたって第一の目標としたのは、職人の将来に対する不安のすべてを払拭したい。カシマ製作所をそんな職場にしてみたいというものでした」。
紆余曲折はあったものの、2013年から事業は安定し、2年連続の黒字となっている。「事業計画書の公表を始めたことが、そうした結果につながったと考えています。有言実行ということですね」。しかし鹿島氏にとって、本当の意味での事業安定はまだまだ先。国内に留まっていて発展はない。
そんな思いから数年前よりアジア進出の機会をうかがっていたが、2年ほど前からミャンマーとのパイプが生まれたことで、大きなビジネスチャンスの到来を予感しているという。海外進出は計画書に目標として掲げた文言の1つだ。また1つ理想に近づけたことで、その歩みはさらにペースアップする。夢は追い続けてさえいれば絶対に叶う
周囲にとっても意外だったのが、この春から北九州市立大学のマネジメント研究科で大学院生として学び始めたことだ。高校中退というハンディに屈することなく数年がかりで挑戦。見事に入学を果たしたわけだが、その目的はMBAの取得にあるという。
「カシマ製作所を絶対に潰れない会社にしたいんです」。
安定した会社経営、そして世界を相手にわたり合うために必要なのが、高度なマネジメント力だと確信し、理想に向かって突き進む鹿島氏。「夢は追い続けていれば、絶対に叶う。海外との取引も、会社を始めた頃は夢のまた夢と思っていました。従業員が安心して働ける会社もかなり実現でき、地場企業のなかであれば待遇面で先頭を切っています。もちろん、目指すのは日本一ですからまだまだですが(笑)」。
極めて明確な理想を思い描き、その目標に向かってぶれることなく行動する。まさに有言実行のその姿が、何とも爽やかで頼もしい。※記事内容は2015年8月31日時点のもの
<COMPANY INFORMATION>
(株)カシマ製作所
代 表:鹿島 克介
所在地:福岡県飯塚市筑穂元吉937-6
設 立:2010年1月
資本金:5万円
TEL:0948-72-0798
URL:http://www.kashima-ss.com<プロフィール>
鹿島 克介(かしま かつすけ)
1974年、福岡県須恵町に生まれる。89年、高校を中退しプレキャストコンクリート型枠をつくる職人である父に弟子入り。94年、父から破門を宣告され、以後さまざまな職場を渡り歩いた末、再び型枠づくりの企業に就職。2010年、(株)カシマ製作所を設立。直方倫理法人会会長。関連キーワード
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