2024年11月25日( 月 )

日本庭園づくりの伝統を継承し、創業50周年を迎えた庭づくりのプロ

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(株)別府梢風園 代表取締役社長 別府 壽信

庭園文化を通じて海外で飛躍

(株)別府梢風園 別府 壽信 代表取締役社長<

(株)別府梢風園 別府 壽信 代表取締役社長

 福岡市東区青葉に本社を構える(株)別府梢風園は、2015年に創業から50周年を迎えた老舗の造園工事業者である。個人から企業・公共事業と幅広く手がけており、得意とする日本庭園の施工においては、国内外で数々の実績を残してきた。
 同社は、日本庭園の真髄は「意匠」にあるのではなく、そのなかに隠された日本人の独特な「思想」にあると考えている。その文化的芸術性を認識し、将来に継承するという使命感と役割を意識しながら、庭づくりを通じて社会のために寄与したいと日々の業務に取り組んでいる。同社では、あらゆる庭園の企画・設計において、自然条件などを考慮したうえで、専任のスタッフによる現地調査を行い、顧客の要望と『洗練されたものづくり』のために、専門的な立場から積極的にアドバイスを行うなどしている。また、熟練した技術者や技能士を多数そろえ、庭園づくりのプロとして技術の研鑽や習得に励んでいる。

 そんな同社が強みとしているのは、海外での展開だ。その代表作と言えるのが、モナコ公国で手がけた欧州初の日本庭園「モナコ公国日本庭園」である。1990年大阪の花博で、モナコ公国の建設大臣が同社の作品を見たことが縁で受注となった。94年に竣工したこの日本庭園は、「庭園のなかに入ると日本にいると錯覚させる」ように、国際会議場などの近代的な建物を植栽で隠すなどの工夫を施し、モナコ政府から「ヨーロッパ最大級の日本庭園」との賛辞を得るほどの出来映え。14年、20周年を迎えたことを記念し、長い友好関係への感謝の気持ちを示すために、庭園内の茶室と野点で茶会を開いた。庭園には管理のためのスタッフやガードマンが常駐するほか、同社のスタッフも年に2、3回訪れるなどして、徹底した維持管理がなされている。同庭園が欧州随一と言われる所以だ。

フランスの古城に日本庭園を

 モナコ公国日本庭園20周年記念の茶会で、在フランス日本大使館から同社に連絡が入った。フランスに外交の場として日本庭園をつくる計画があるので、ぜひ依頼したいということだ。さっそく現地調査を行い、15年6月から起工した。場所はパリから車で30分ほどの地点、ラ・セル=サン=クルー市外にあるラ・セル城内。その昔、王侯貴族の迎賓館的な所で、今は外務省が管轄している。
 ヨーロッパのフランス庭園は、左右対称性や幾何学性、噴水や池、植栽の人工的な整形を特徴としていて、ビジュアル的なものだ。それに比べて日本の庭園は、大陸からの宗教や思想が反映され精神的な要素が強い。今回は枯山水の造園となる。枯山水は、水のない庭のことで、池や遣水などの水を用いず、小石や白砂などによって山水の風景を表現する抽象的な庭園様式だ。15年8月に竣工した。

日本庭園の伝統を継承

 世界中に日本庭園があるが、そのほとんどは形が崩れているという。庭園は生き物だから、管理が欠かせない。京都のように神社仏閣が少ない福岡の地では、伝統に沿った日本庭園をつくる職人が育ちにくい環境にある。日本庭園は、街路樹や公園のようなつくりでは表現できない。福岡は海外からの観光客が来ても、日本の伝統的な建築物や庭園へ案内できる場所が少なすぎる。市内にも数カ所、日本庭園があるのだから、正しく手入れをしておける環境をつくるべきであると、別府壽信社長は、福岡市のまちづくりについて思いを馳せる。日本の庭園文化を通じて、国内だけでなく海外で活躍し、さらには都市緑化や観光の観点から福岡市の未来をも考える同社の今後に期待する。

※記事内容は2015年8月31日時点のもの

<COMPANY INFORMATION>
(株)別府梢風園
代 表:別府 壽信
所在地:福岡市東区青葉1-6-53
設 立:1976年6月
資本金:8,500万円
TEL:092-691-0678
URL:http://www.shoufuen.co.jp/

<プロフィール>
beppu_pr別府 壽信(べっぷ ひさのぶ)
1955年福岡県生まれ。西日本短期大学造園学科卒業後、76年に(株)別府梢風園入社。85年、同社代表取締役社長に就任。(一社)福岡市造園建設業協会の会長も務める。趣味は読書、ゴルフ。

 

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