打たない勇気
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先日、一緒にラウンドした先輩のプロゴルファーが、40年前に18万円で買ったというスコッティキャメロンのクラシックパターを使っていました。40年前の18万円は、今ならいくらくらいの価値があるのだろうという話で、昼食時に盛り上がったものです。
ちなみに、僕が使っているパターは、あるコンペの賞品でもらったもの。国内ゴルフメーカーの名もないパターですが、使ってみると意外にも良くて、かれこれ4年ほど愛用しています。これまで、一度も同じパターを使っている人を見たことはありませんので、それほど人気があるパターではないのでしょうね。でも僕にとっては、何十万円もするパターよりも打ちやすいのですから、クラブとの相性って不思議です。ゴルファーのなかには、次から次に新しいクラブに変える方がいます。もちろんそれも、ゴルフを楽しむ醍醐味の1つです。莫大な研究費や開発費をかけて世に送り出される新製品は、良いものであることに違いありません。皆さんも、新しいクラブを手にしたときのワクワク感を体験したことがあるでしょう。使う前は、「このドライバーならもう30ヤード飛ぶかもしれない」「このパターならどんなしびれるパットも入るかもしれない」――そんな期待を抱きます。
しかし僕の経験上、そんな期待に応えてくれるクラブと出会う確率は、宝くじに当選するのと同じくらい低い気がします。だからこそ、「これは」と感じるクラブと出会ったら、ぜひ大事にしてください。そしてそのクラブでたっぷり練習して、自身のスイングと感覚に馴染ませてください。一方で、クラブを変えたほうが良い場合もあります。とくにパター。パターを変えた途端にパットが入り出した、という話をプロの世界でもよく聞きます。それは、パターの重さや形状、長さを変えることで、自分のなかに今までとは違う新しい感覚が出てくるからです。しかしその感覚も、同じパターを使い続けると新しいものではなくなります。そこで、またパターを変えて、違う感覚を引き出すわけです。パターをコロコロ変えているゴルファーには、そういう意図があります。
またこのことは、練習の際にも言えることです。ウェッジから練習を始め、7番、5番と番手を上げていきますよね。ところが、7番までは上手く打てるけど、5番はなかなか当たらない。だから、打てない5番をずっと練習する――。そういう経験はありませんか?
打てないのは、タイミングを含め、良いスイングで打てていないからです。そんなスイングでずっと打つと、ダメな動きを一生懸命に復習していることと同じです。5番が上手く打てないなら、7番に戻すべきです。あるいは、ドライバーに変えてもいい。すると、また違う感覚が出て、タイミングが合い始めます。打てない5番を無理にずっと打ち続けると、打てていた他のクラブも打てなくなるものです。
新しいクラブも普段から愛用しているクラブでも、打てないクラブは無理に“打たない勇気”も必要です。▼関連リンク
・NBFスポーツ塾<PROFILE>
信川 竜太 (のぶかわ りゅうた)
1971年3月27日生まれ。(株)スリーバーズ代表取締役。スポーツキャスター、DJ、MC、リポーターとしてスポーツを中心にテレビ、ラジオなどで活躍中。その一方で、ゴルフコーチとしても活動している。信川氏がゴルフの道を志したのは福大大濠高校1学年時。卒業後、フロリダ州ブロワードジュニアカレッジに入学(のち、フロリダ・リン ユニバーシティーに編入)。在学中、トーナメントでタイガー・ウッズの上位に入る結果を残した。2006年1月に(社)日本プロゴルフ協会 PGAゴルフティーチングプロの資格を取得。10年10月、福岡市東区多の津にスポーツ塾を開講した。関連キーワード
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