2024年12月23日( 月 )

九州FG誕生~金融再編の行方を占う(5)

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今後予想される金融再編

 九州の地銀18行のうち、グループに属さない銀行8行に、残された時間はないように思われる。
 ゆうちょ銀行が民営化されると、今後、貯金限度額など官営時代の制限は撤廃されていく。あたかも法衣の下に鎧のゆうちょ銀行の実力は計り知れないものがあり、強力なライバルとなる。
 まず信用組合や信用金庫など弱小金融機関への影響は予想しえないものがあるが、地銀も例外ではなく、特に第二地銀への影響は深刻で、一刻も早く経営統合による経営基盤の強化を図らなければ、生き残る道はないものと推測できる。

九州地銀は三グループへ集約

1.南日本・宮崎太陽・佐賀共栄銀行(第二地銀) →西日本シティ銀行グループへ
◆第二地銀の三行は旧相互銀行だった西日本シティ銀行とは経営基盤が同じで、互いに連帯感を持つことができるからだ。

2.十八銀行・佐賀銀行・筑邦銀行・宮崎銀行(第一地銀) →九州FGへ
◆十八銀行は、ライバル関係にある親和銀行はふくおかFG傘下であり、長崎銀行は西日本シティ銀行の100%子会社であることから、九州FGとの経営統合へ進むものと見られる。
◆佐賀銀行は福岡市内及び筑豊周辺に多店舗展開しており、ふくおかFGや西日本シティ銀行とはライバル関係にある。両グループと経営統合することになれば、重複店舗の閉鎖や業務縮小など克服すべき問題点が多く、可能性は低いものと推察される。
 さらに十八銀行と筑邦銀行の3行は共同システムで提携するなど緊密な関係にあり、こぞって九州FGとの経営統合を選択する可能性が高いものと思われる。
◆筑邦銀行は久留米市中心に福岡県内で店舗展開しており、佐賀銀行と同様の理由による。
◆宮崎銀行はふくおかFGと経営統合する可能性はわずかには残されてはいるが、西南の役で共に戦った南洲翁(西郷隆盛)を大切にする県民性もあり、薩摩との連帯感から九州FGとの経営統合を選択することになりそうだ。

3.大分銀行 →ふくおかFGへ
◆姫野昌治(63歳)大分銀行頭取と柴戸隆成(61歳)ふくおかFG社長(兼福岡銀行頭取)は、共に慶応大・経済学部卒の先輩後輩の間柄。三田会(同窓会)の絆は大きな武器となりそうだ。
 またふくおかFGと経営統合すれば、湯の町「別府」「湯布院」などの観光振興や企業誘致など、幅広い分野で経済効果が期待できるからだ。

4.北九州銀行 →山口銀行へ
◆山口銀行から営業譲渡を受けて2011年に設立された北九州銀行は、3グループの攻勢に抗しきれず、いずれ山口銀行に併合されるものと推測される。

<まとめ>
 「金融再編大胆予想」はあくまでも筆者の予想であり、的中するかどうかは別にして、大きく外れることはないものと思われる。
 いよいよ明日10月1日、九州フィナンシャルグループが設立される。今はまさに九州の地銀(18行)にとって、新たな枠組みが形づくられる「夜明け前」の静けさなのかもしれない。

(了)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

■九州地銀(18行)の金融再編大胆予想図

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