2024年12月23日( 月 )

プーチン大統領も懸念するトランプ暗殺計画

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
 今回は、12月20日付の記事を紹介する。

 「2度あることは3度ある」と、よく言いますが、トランプ次期大統領の身にも当てはまるかも知れません。先の大統領選挙の期間中にはペンシルベニアでの選挙集会とフロリダのゴルフ場で2度に渡り狙撃犯から命を狙われてきました。

 3度目の事件も大きくは報道されませんでしたが、9月18日にアリゾナ州のトランプ支持集会で発生しています。演説するトランプ氏の後ろにはラテン系の支援者が20数名座っていたのですが、トランプ氏が演説を終えて、ステージを後にした20分後に異常事態が起きたのです。

 壇上にいた20名ほどの支持者が相次いで目や喉に異常を訴え始めました。「目が痛くて開けられない」とか「喉が腫れて苦しい」、はたまた「全身が震えて動けない」と悲鳴が出たそうです。

 「ハバナ・シンドロームの再来か」と、地元では大きな話題となりました。「ハバナ・シンドローム」とは、キューバのハバナにあるアメリカ大使館に向けて何者かが電磁波攻撃を仕掛けたため、多くの外交官が被害を受けた事件です。いまだに犯人の特定には至っていません。

 専門家の間では、「かなり離れた距離から演説中のトランプ氏を狙ったのだろうが、照準がずれてしまい、背後に座っていた支持者に命中した可能性が高い」とのこと。トランプ陣営の責任者も「深刻な事態だ。トランプ氏本人は無事だったが、多くの支持者が被害に遭われたわけで、調査の上、対応を考える」と危機感を露わにしたものです。

 実は、民主党支持者の28%は「トランプ氏が暗殺されてしまえば、アメリカはより良い国になる」と答えていました。しかも、51%は「トランプ氏の身辺警備を強化する必要はない」と述べ、「反トランプ」の姿勢を明確に打ち出してきたのです。

 トランプ氏は次期大統領に選ばれたのですが、来年の大統領就任式まで命が保証されているとは限りません。分断と分裂が加速するアメリカではいつ内乱状態に突入するかも分からないほど治安も悪化しています。

米露関係    そんなアメリカの危機的状況を密かにほくそ笑みながらも、表向きはトランプ氏への安否を気遣う素振りを見せているのがロシアのプーチン大統領です。プーチン大統領曰く「アメリカの治安の悪化は目に余る。いつ何時、トランプ氏が暗殺されるか気がかりだ。身辺警備には万全を期してほしい」。

 ロシアの大統領がアメリカの次期大統領の身の安全にこれほど懸念を表明するのは異例のことです。とはいえ、それには理由があります。長引くウクライナ戦争です。ロシアにもウクライナにも多数の死傷者が出ています。最近では北朝鮮がロシアに派遣している義勇軍の間でも戦死者が出始めているとのこと。

 何とか停戦そして和平への道筋をつけたいとロシアもウクライナも考えています。しかし、アメリカからの長距離ミサイルの提供を受け、バイデン政権からロシア内部にも攻撃の承認を得たゼレンスキー政権は「勝つまで戦闘を続ける」と息巻いているため、停戦は簡単には行きそうにありません。

 唯一の可能性は、アメリカがウクライナへの武器や資金の提供を中止することで、ゼレンスキー大統領に白旗を上げさせることでしょう。実は、トランプ氏はその道を模索しているのです。

 史上最悪の財政赤字に陥り、外国での戦争に関わる経済的、また軍備的にも余裕がありません。そのため、「自分がホワイトハウスにカムバックすれば24時間以内にウクライナ戦争を終わらせる」と豪語しています。要は、ロシアが占領した地域はそのままにし、即、停戦に持ち込むというのがトランプ流の目論見なのです。ゼレンスキー大統領にとっては飲めないでしょうが、プーチン大統領にとっては願ってもない停戦条件になります。

 そんなロシア寄りの姿勢を打ち出しているトランプ氏が暗殺でもされれば、停戦はご破算になりかねません。プーチン氏がトランプ氏の安全に気をもんでいるのは、当然の話でしょう。

 日本はバイデン政権からはウクライナ復興支援を約束させられてきました。トランプ氏は間違いなくウクライナからは手を引くはずですから、日本はアメリカやロシアの尻ぬぐいを押し付けられることになりそうです。


著者:浜田和幸
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