耐力偽装、建築界に蔓延か?部材や鉄筋量を減らす操作~元・一級建築士からの警告
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建物に必要な部材や鉄筋量を減らすために構造計算書を意図的に操作する耐力偽装が、長年にわたって多くの構造設計者の間で行われていたことを証言する1通の警告書(緊急提言)が7月4日、公表された。これは、元・一級建築士の仲盛昭二氏が公開したもので、耐震強度に換算して比較すると、基準に対して10~35%の強度が不足するとの内容だ。耐震偽装で衝撃を与えた姉歯事件から10年余、姉歯事件を上回る偽装に発展しかねない大問題であり、国民の生命と財産に与える影響の大きさを考慮して、警告全文を公開するとともに、仲盛氏に内容の核心を聞いた。
警告にあたって仲盛氏は、「建築業界を去る決意」をした「元・一級建築士」であり、意匠設計事務所やゼネコン・工務店との「持ちつ持たれつ」の関係から離れているからこそ告発でき、現役構造設計者では公にできない事実だと語っている。
仲盛氏は、「我が国の建物の構造設計に携わる構造設計者は、誰一人として指摘することができない極めて重大な問題だ」とする。「建築業界に関わる官、民、関係者が長きにわたって国民を欺き続けていた」と深刻な表情で語り、「すみやかに耐力の不足分を補強するほかに選択肢はない」と警告した。偽装行為は、2007年に改正建築基準法が施行され、建築確認審査への民間確認機関の参入が急激に増加するまで続いたという。【山本 弘之】
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