監督官庁はブローカー末広産業を退場させよ
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税金ピンハネ、建設業法違反の実態(7)
福岡市発注の公共工事において、納税者をあざ笑うような杭工事業者の受注実態が発覚した。問題の工事業者は福岡市西区に本社を置く末広産業(株)(佐藤九一郎代表)。従業員わずか5~6名、工事用の機械も持たない同社が一次下請に入り、工事代金の一部を事実上ピンハネしている状況だ。データ・マックスは、同社が施工に関与した公共工事の関連文書を福岡市に情報公開請求。入手した資料から、過去3年間の市発注工事において、同社が施工に関わった26件すべてが一次下請であったことが判明した。施工体系図や下見積書からそのありえない実態を報告する。
これまでにデータ・マックスが収集した情報から浮かび上がったのは、末広産業の税金搾取と建設業法違反の疑いである。公文書からのデータ収集には限界がある。それでも一部の情報からでさえ同社のありえない受注実態は明らかである。この連載を始めてから、瞬く間に情報は拡散され、業界内では同社との今後の取引に慎重になっているという声が届いている。また同社の仕事ぶりを知った同業者からの声を一部紹介する。
基礎工事A社
「昔から業界にはブローカーが存在する。しかし、あくまでブローカーはブローカー。表には出てこないのが普通。末広さんのように、施工体系図に出てくるようなのは見たことがない。単独でこのような受注体制を築くのは難しいので、メーカーを含めた共同作業になるだろう」基礎工事B社
「ある基礎工事で、施工開始直前までウチが2番手だ(二次下請)と思っていたが、実は末広さんが一次に入っていることがわかり、驚いた。三次下請からはどこが一次に入っているかはよくわからない。現場員はこの暑さの中、作業を行っている。人もろくに出さずに、金がもらえるような商売はあってはならない」基礎工事C社
「末広さんと取引はないが、関係先から取引の有無について、問い合わせが入っている。市は受注実態を把握しているはずだし、実際、下見積もりを同社に依頼している。県も施工件数の報告を受けており、総じて行政の責任も重い」
以上のように、同業者からみても、末広産業の受注状況は不可解であり、監督官庁の責任にも言及している。ブローカーを退場させよ
国交省は下請への丸投げ行為について、監督処分にも言及している。
「公共工事については、一括下請負と疑うに足りる事実があった場合、発注者は、当該工事の受注者である建設業者が建設業許可を受けた国土交通大臣又は都道府県知事及び当該事実に係る営業が行われる区域を管轄する都道府県知事に対し、その事実を通知することとされ、建設業法担当部局と発注者とが連携して厳正に対処することとしています。監督処分については、行為の態様、情状等を勘案し、再発防止を図る観点から原則として営業停止の処分が行われることになります。なお、一括下請負を行った建設業者は、当該工事を実質的に行っていると認められないため、経営事項審査における完成工事高に当該工事に係る金額を含むことは認められません。」
実際、昨年発覚した杭打データ偽装問題で、国交省は傾斜した横浜市のマンションを施工した元請の三井住友建設と一次下請の日立ハイテクノロジーズ、二次下請の旭化成建材の計3社を建設業法に基づき処分している。下請2社は専任の現場責任者を置かず、建設業法が禁じる「工事の丸投げ」を行ったが、三井住友建設は事情を知りながら指導を怠っていた。今回の場合、傾いた建物はないと思われるが、構図は同様、国交省・福岡県・福岡市は徹底調査をすべきである。
データ・マックスの調査により、これだけ客観的なデータが収集された。そして関係業者からの苦情も多数届いている。ピンハネによる税金の無駄、そして建設業法違反の疑いもある。関係各所は同社の施工に関し、厳正な調査を行い、ブローカーを退場させるべきだ。このような異常事態を見過ごすようであれば、血税の無駄遣いを助長、不適切な施工実態を認めることになる。
(つづく)
【東城 洋平】▼関連リンク
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