2024年12月23日( 月 )

【名門・筑女の異変】筑紫女学園の子会社が『恩を仇で返す』追い出し行為(後)

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脱法的な収益事業、建学の精神はどこへ?

book 筑紫女学園からの非情な仕打ちにショックを受けた武田氏は、笠信暁理事長(当時)に手紙を送った。学校関係者から入手したその手紙の文面は、「私見であり又、釈迦に説法となり大変失礼致します」と断ったうえで、解約通知などについて、「自律」「和平」「感恩」という建学の精神(浄土真宗の教えに基づく人間教育)からかけ離れたものであり、非常識であることを指摘している。

 「伝統校として、改革してゆく上に於いて、変えてはならないものと、変えていかなくてはならないものとを明確に区別して実行される事を望みますが、今回の件につきましては、設備・備品・機械類(自販機・コピー機等)と同様に扱われている様で非常に残念な思いが致します」(一部引用)。

 武田氏の危機を知った卒業生のなかには、存続のための署名運動を実行するといった声もあがっている。さすがにまずいと思ったのか、16年3月末の解約を1年延期する知らせがきたようだ。その後は、既報の通り、学校運営をめぐる内部対立が激化。同社・金子代表が兼任する筑紫女学園事務局長から外されるといった混乱があり、武田氏の件は放置されていたものと思われる。今年7月中旬になって1年契約延長に合意書が送られたという。

 筑紫女学園は、異例のかん口令が出された理事会を経て、(株)はせがわの元代表・長谷川裕一氏が理事長に就任した。長谷川氏は理事として笠前理事長を支えてきた人物。当然、CJクリエイトによる収益事業の拡充を知らないはずがない。さすがに、恩を仇で返すような現場対応については、直接指示してやらせたとは思えないが、金もうけ優先の事業が教育におよぼす影響を考慮していただきたいものである。

 「新しい食堂は以前の業者よりすべてのメニューで割高となり、テイクアウトでお金をとる。子どもたちの評判がすこぶる悪い」とは、高校に長女が通う保護者の声。一方で、学校法人が収益事業を行うことへの疑問も残る。筑紫女学園の文科省の認定が必要な寄附行為には、CJクリエイトが行う収益事業について記載されていない。学園自体、記載のない収益事業を行うことは違法行為になる。直接的ではないにしろ、CJクリエイトは学園の完全子会社であり、登記上、その役員の大半は同学園の職員。実態は筑紫女学園そのものであり、「脱法的存在」と言えるのではないだろうか。

 はたして、長谷川新体制の学校運営に、生徒や卒業生、保護者の意見を尊重し、武田氏の存在に対する考え方を改める可能性はあるだろうか。武田氏の理事長への手紙は、法や自ら課した原則さえも蔑ろにする学校運営では、たとえ一時の安寧は得られても、アイデンティティやブランド力の喪失から衰退の道に突き進むことになると警告しているように思える。

(了)
【山下 康太】

▼関連リンク
・筑紫女学園新理事長(?)長谷川裕一氏解任の勧め(1)~筑紫女学園の迷走

 
(中)

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