過去の地下鉄事故 職員の重大過失を隠ぺいか~福岡市交通局
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福岡市地下鉄の運営を行う福岡市交通局が、過去に職員の過失で重大事故が起きたにも関わらず、原因を公表せず事実上隠ぺいしていたことがわかった。交通局発注工事に起因する事故だったが、元請の工事成績に減点がないことを疑問に思った記者が交通局へ問い合わせた。同局は当初あいまいな回答に終始していたが、検証の結果、同局職員が主因であることを認めた。交通局は施工業者には厳重注意を与えておきながら、自局の過失を発表しておらず、隠ぺいとも取れる処理を行っていた。
問題となった工事は、「馬出九大病院前駅内外装仕上改良工事」(契約時の履行期間:2015年11月26日~2016年3月15日)。事故は今年1月30日午前5時ごろに発生した。始発列車が線路内に残置された脚立と接触し、緊急停車。けが人はなかったが、運休2本、遅延が2本発生した。事故直後、交通局は、「脚立は夜間工事で使用されたもの」と発表したが、「原因については調査中」としていた。しかし、その後、同事故に関する発表は一切確認できなかった。
データ・マックスは交通局に対し、当該事故の関連文書を情報公開請求した。交通局が元請業者へ発した「厳重注意」や業者が提出した「お詫び」の文書を入手。これらの文書から、元請業者が過失を認めているのは明らかだ。第3者が事故発生の原因となるような「もらい事故」ではなかった。
しかし、工事完了後に工事の品質を数値で示す「工事成績評定表」にその減点が確認できなかった。事故の発生事実と工事成績に減点がないことを疑問に思った記者はその理由を交通局に尋ねるも、担当者はあいまいな回答に終始するばかりだった。
そこで交通局に対し、改めて文書により質問を行った。重大事故発生に減点がともなわないことを追及すると、交通局は「主因が交通局職員であったこと」を認めた。交通局が同職員に対し、処分を下した内部文書も明らかになっている。
しかし、交通局は特定した事故原因を発表はしていない。そもそも、事故直後の発表で、「原因は調査中」としているが、その時点で責任の所在は明らかだったはずだ。公文書公開請求で初めて判明した、この1件は事実上の隠ぺいとも取れる処理。業者責任の事故であれば、指名停止等の処分を下す一方で、自局の不祥事には蓋をする。「外に厳しく、内に甘い」交通局のありえない体質を次項で明らかにしていく。
【東城 洋平】
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