福岡の幽霊会社 「地方創生・奇跡の町」に波紋
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昨年末の話。地元紙の報道をきっかけに、山間の静かな田舎町に衝撃が走った。衝撃は、県内はもとより全国の自治体関係者に――。それもそのはず。その町が「奇跡の町」と呼ばれ、地方創生のモデル地として、輝かしい実績を残してきたからである。徳島県神山町。同町は「地方創生・奇跡の町」と呼ばれてきた。
神山町は徳島県の北東部に位置する農業の町。1955年に約2万1,000人を数えたが、2015年には約6,000人に減少。農業だけの産業振興では厳しいため、取り組んだのがICT化だった。
神山町は町域の約83%が山林だが、全町域に光ファイバー網を整備。情報インフラの整備により、首都圏のICT関連企業が神山町にサテライトオフィスを設置するようになり、2011年には人口の転入が転出を上回るようになった。この成功事例が注目を浴び、山間の静かな町は地方創生のトップランナーとして知られるようになったのである。全国から過疎化に悩む多数の自治体が視察に駆けつける。地元紙の記事は、そうした町の地域活性化のための公共事業において、不可解な業者選定が進められたことを報じるものだった。
疑惑の渦中に存在するのは、福岡の企業であり、福岡在住の人物。問題視されたのは、コンサル業務の委託先が法律上存在しない「幽霊会社」であったこと。そして、その業者を紹介したのが、昨年4月に官民で発足させた一般社団法人「神山つなぐ公社」の理事だったことである。理事は福岡市在住だ。
取材をするなか、明らかとなったのは、外部に依存する自治体の体質であった。幽霊会社の実態とともに、次回から明らかにしていく。
【東城 洋平】
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