2024年12月23日( 月 )

久留米市・欠陥マンション裁判、鹿島建設の実に大人げない反論(前)

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欠陥マンション構造研究会

 福岡県久留米市の「新生マンション花畑西」の区分所有者らが、元請施工業者の鹿島建設(株)などに損害賠償などを求めて訴えた裁判(次回9月1日)は、建物の瑕疵をめぐり、2014年6月の裁判開始から3年が経過した。裁判が最終局面を迎えるなかで、争点はある程度整理されるとともに、大手ゼネコンの実に大人げない、不誠実な姿勢が露わになっている。原告側の技術アドバイザーを務める協同組合 建築構造調査機構の仲盛昭二氏の解説を交えながら報じていく。

実在しない補修工事完了の覚書

 原告側が指摘する「主要構造部の柱、梁、耐力壁のコンクリートかぶり厚の不足」とは、建築基準法施行令第79条で定められた「3センチメートル以上」を満たしていない箇所が建物全体におよんでいるというもの。「コンクリートかぶり厚は、コンクリート躯体の構造強度の確保、鉄筋の座屈防止、火災時の熱からの鉄筋の保護、建物の耐久性を左右する鉄筋の防錆といった点で絶対的に必要」(仲盛氏)とされている。

 このコンクリートかぶり厚の不足箇所に関し、原告と被告の主張が真っ向から対立した。

 マンションの共有部分は、鹿島建設が実施した調査で特定(写真と図および数値による記録が同マンションの管理組合で保管)されているが、鹿島建設は、補修工事を完了したとして、マンション管理組合側と覚書を交わしたと主張。一方、マンション管理組合は、補修工事を半ばで打ち切ったことに対して納得できず決裂した状態が長年続いており、覚書は存在しないとしている。

 原告側は今年5月、物を壊さずに、その内部や表面の傷、あるいは劣化の状況を調べ出す「非破壊検査」を行う民間企業に調査を依頼。その調査の結果、かぶり厚の不足は建物全体におよんでいること、また、その補修工事が行われた形跡がないことが判明し、その事実を裁判所に報告した。象徴的なのは、最も耐震強度が求められる1階ピロティ部の柱。同柱の周囲に工事を行うための十分なスペースがあるにも関わらず、補修工事の形跡はないうえ、寸法が設計図の数値よりも小さかった。

 原告に対し、実在しない覚書の提出を求める被告・鹿島建設。仲盛氏は、「いずれの瑕疵も鉄筋探査機とメジャーがあれば、直ちに判明する。鹿島建設は建物の実態とかけ離れた机上の空論を弄ぶ態度をあらため、現場に足を運び、自ら犯した施工瑕疵の実態を認識すべき。また、15年8月の調査では、同マンションのコンクリートの中性化防止対策も不完全だ。このような状況で、公正な建物の耐震強度の評価を行うことなど認められるものではない」と、鹿島の姿勢を厳しく批判する。

(つづく)
【山下 康太】

 
(後)

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