まるでピサの斜塔!?天神・大名地区の傾斜した教会(後)
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倒壊の可能性が極めて高く早急な対策が必要
――傾斜した教会は、建築物としては、どのような特徴がありますか。
仲盛 この教会は、超大手ゼネコンT工務店の設計施工により建築された、壁式鉄筋コンクリート造4階建て、高さ11.4mの建物です。柱と梁のフレームで構成される一般的な構造(ラーメン構造)がしなやかさで揺れを吸収するのに対して、壁式鉄筋コンクリート造という構造は、箱状の堅固な構造で、強度型構造の最たるものです。
この最も堅固な構造の建物が傾斜している原因は、建物を支持する杭が施工されず、直接基礎で施工されているからと推測されます。一般的に、この地域の支持地盤は相当深い位置にあります。液状化が発生しやすい地域でもあり、壁式鉄筋コンクリート造4階建ての建物であれば、杭基礎とすることが常識です。――教会が傾斜した原因は、施工ミスでしょうか。
仲盛 教会が立つ場所は、福岡市が「揺れやすさマップ」を作成した際に、「地盤が悪い」と警鐘を鳴らしているエリアです。このエリアは、地震が発生した場合に大きな揺れが想定されるため、本来ならば慎重な設計を行い、十分な余力を持つよう留意すべきです。
設計と施工が分離され、適切な設計と監理が行われていれば、建物が傾斜するような事態にならなかったかもしれません。しかし、この教会は、ゼネコンの設計施工だったため、建築コストを抑えることを最優先したことも、十分に考えられます。――傾斜した教会は、何か対策を講じなくても、安全性に問題はないでしょうか。
仲盛 この状態が続けば、規模の小さい地震であっても倒壊の恐れがあり、隣の建物や通行人に被害を与えることが想定されます。建物の形状から、道路側ではなく、隣地の方へ倒壊すると思われます。
横浜の傾斜マンションは、一部が支持層に届いていないとはいえ、一応、杭が施工されていますので、倒壊することはないと思います。しかし、この大名の教会は、ペンシル状の建物形状であり、杭が施工されていないことから、地震が発生した場合、倒壊する可能性は極めて高いと思われます。
万が一、建物が倒壊して被害が発生した場合、建物所有者の責任になります。被害を未然に防ぐため、所有者には、一刻も早く是正されることを求めます。所有者が是正しない場合には、行政が指導的に動くべきだと考えます。(了)
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