中国経済新聞に学ぶ~日本企業の対中投資 3年連続減少
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中国日本商会はこのほど、「中国経済と日本企業2016年白書」を発表した。在中国日系企業8,894社を対象とした調査の結果を見ると、日本企業の対中戦略がターニングポイントを迎えており、日本の対中投資の重点に密かに変化が生じていることが分かる。
2016年白書によると、2015年の日本の対中投資額は32億ドル(約3342億円)に上り、前年比25.9%減少し、3年連続の減少となった。主な原因は、中国の投資環境の変化で、人件費の値上がりや労働力の確保難などの要因が影響したという。
全体的に見ると、日本の2015年の対中投資は過去数年の減少傾向を引き継いだが、下げ幅はやや縮小した。累計金額を見ると、日本は依然として対中投資額が最多の国だ。未来の対中投資の意向を見ると、投資拡大を希望すると回答する企業は減少傾向を示しており、特にコスト探求型投資(輸出型投資)の減少傾向は明らかだが、市場探求型投資(国内販売型投資)は増加を示した。また投資の現状維持を希望する企業も増え、第3国への移転を希望するとした企業は1.7%で2011年と同水準になった。投資分野を見ると、製造業以外への投資意向が強かった。製造業では、食品、省エネ、環境保護産業への投資に注目が集まった。サービス業では、卸売・小売、物流などの分野への投資拡大の意向が見られた。
日本の対中投資の減少は、世界の経済情勢、中国の産業構造のモデルチェンジ・アップグレードなどと関連していることが分かる。世界の経済成長の原動力が乏しく、国際市場の需要が疲弊し、中国の輸出が大幅に減少し、世界経済の回復の先行きが不透明となっている。この状況下、いかなる企業も盲目的に投資を拡大できず、日本企業も例外ではない。「新常態」に入った中国経済は、モデルチェンジ・アップグレードの最中だ。人件費が高騰し、コスト探求型投資が維持できなくなっている。中国に進出した日本企業は必然的に投資を縮小し、されには第3国に移転する。製造業以外の投資意向の拡大は、中国がサービス業の発展に力を入れ、中国の経済構造のモデルチェンジ・アップグレードを行っていることを関連している。
日本貿易振興機構(ジェトロ)が昨年10~11日に中国に進出した日系企業を対象に行ったアンケート調査によれば今後1~2年間に中国事業の範囲を拡大するつもりがあるとした企業は11年の66.8%から大幅に減少して38.1%になり、中国での経営規模を縮小する、中国から撤退する、第3国に移転するとした企業は11年の4.4%から10.5%に増えた。
日本の財務省が公表した貿易データをみると、5月の日本の対中輸出は前年同月比14.9%減少し、3カ月連続のマイナスになっただけでなく、減少幅が4月の7.6%の2倍にもなった。
だがすべての産業が事業規模の抑制や縮小を考えているわけではない。事業拡大の意志を示した企業を産業別にみると、製造業では食品が52.4%、輸送機械工業が43.5%、非製造業では卸売・小売産業が50.9%など、国内消費型産業の割合が高かった。一方、輸出型産業である繊維は19.2%と、初めて20%を割り込んだ。
「中国経済と日本企業2016年白書」によると、15年は日系企業の対中投資戦略が転換した重要な曲がり角の年で、この年に輸出型の投資は減少し、国内消費型の投資が増加した。輸出型企業は中国事業の優位性が徐々に失われ、国内消費型企業は中国を潜在的な市場とみなし、今後も引き続いて中国市場の開拓を強化していく考えだという。
全体的に見て、中国の巨大な市場、整ったインフラなどは、日本企業にとって依然として魅力的だ。そのため市場探求型投資が拡大もしくは現状維持を目指し、新たなチャンスを待ちわびる現状となっている。日本企業は依然として中国市場を十分に重視しており、機が熟せば、対中投資は回復・成長することだろう。
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