タイ・プミポン国王崩御で懸念される国政不安定化
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13日、タイのプミポン・アドゥンヤデート国王(ラーマ9世)が崩御された。88歳。在位67年は現役の君主としては最長期間だった。我が国の皇室や政府とも縁が深く、安倍首相はタイ王室、政府、国民に対して哀悼の意を伝えるメッセージを発している。
長く絶対王政を敷いていたタイは、1932年の革命で立憲君主制に移行。その後政治的混乱が続き、王室の権威は失墜していた。しかし46年に王位に就いたプミポン国王は根気強く国内政治の安定に努め、90年代以降には国民から深く尊敬を集めるに至った。在位中、タイでは政府と対立した陸軍が軍事クーデターを起こすケースが頻発したが、プミポン国王はそのたびに調停者として乗り出し、国民の支持を背景に大規模な混乱を未然に抑えてきた。とくに92年の軍事クーデターでは、クーデターを起こした陸軍側の指導者と民主化運動の指導者を王宮に呼び、事態の鎮静化に成功している。国王の前に両指導者がひざまずく姿は、国王の威厳を十分に明らかにするものだった。
現在、世界には日本やイギリスなど立憲君主制を採る国家はいくつかあるが、タイのように政治的な力を発揮することはない。これは「タイ式立憲君主制」と呼ばれるが、これはプミポン国王本人のカリスマ性と実績によるところが大きい。とはいえタクシン元首相の登場以降、プミポン国王の威厳に陰りが見え始めていたことも事実だ。
次代のタイ国王として即位するとみられているワチラーロンコーン王子(64歳)は素行の悪さで知られ、少なくとも現状ではプミポン国王が果たしていた役割を演ずるのは難しい。今後、タイ式立憲君主制が機能するかどうかは、新国王とそれを支える政府、軍部などの動向によるところが大きい。我が国からも多くの企業が進出しているタイだが、政情が不安定化すれば日本に対する影響も非常に大きいことが想定できる。
【深水 央】
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