2024年12月23日( 月 )

城ガールが巡る日本の名城~石垣の美・丸亀城(8・前)

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丸亀城とは

 丸亀城(香川県)は万治3(1660)年に築かれた平山城で、全国に12ある現存天守の1つだ。天守のほかに、大手一の門・二の門、玄関先御門・番所・長屋も当時の姿を残している。天守は高さ15mの三層三階建。現存天守の中で最も小さいが、四重の石垣の上に建つ姿は圧巻である。
 慶長2(1597)年に豊臣家三中老の1人生駒親正と、嫡男一正が築城に着手。その後、元和元(1615)年に一国一城令により廃城となるが、1643(寛永20)年に山崎家治によって再築・修復された。万治元(1658)年に京極高和が丸亀藩主となり、万治3(1660)年に丸亀天守が完成した。

静かな町の大きなお城

 10月初旬、時刻は朝8時半。雲に覆われているせいで、少し薄暗い。城へと向かう富屋町の通りは静かで、自分の足音だけが響く。

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 通りを抜け、大きな道に出る。地図に習い、城に向かうために視線を左に向けると、高くそびえたつ石垣が目に飛び込んできた。
 真っ白に輝く白塀の向こうには生い茂った木々。その木々の高さを優に超える、何層にも積み重なった大きな石垣。上には三重の天守がある。初めて見た丸亀城の、遠目でわかるほど大きく、その堂々とした姿に、思わず息をのんだ。お城に近づくと、堀が見えてきた。堀の幅は広く、対岸の石垣との距離は遠い。どれくらいの深さがあるのだろうか、丸亀城をぐるり囲む堀は、今なお城を守るかのうように、穏やかに水面を揺らしていた。

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 正面に回り、小ぶりながらも美しい大手二の門の前に立つ。頭上には、はるか小さく天守が見えた。門をくぐると、数羽のハトがお出迎え。ぽっぽーとのんきに鳴くハトが愛らしい。次にどっしりと厳格な雰囲気を持つ一の門を抜け、城内を見回してみる。どうやら、天守への道筋は1つだけのようだ。
 見返り坂と呼ばれる、舗装された坂道を登っていくと、曇り空の隙間から日が入りだし、一気に気温が上がり始めた。静かな道に、徐々に虫の鳴き声が響き始める。暦でいえば秋に入る頃合いであるが、まだまだ季節の変わり目は遠いようだ。
 しばらくすると、大きな石垣が見えてきた。三の丸の高石垣だ。高さが約22mもあり、緩やかな曲線が美しい。石垣を眺めていると、模様が刻まれた石を見つけた。どうやら、丸亀城の石垣には様々な刻印が刻まれているようだ。高石垣に沿って歩いていくと、途中で通行止めになっていて進むことができない。次の機会に、ぜひこの先を見てみたい。

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丸亀城にまつわる怖いお話

 丸亀城の石垣は、高く聳えて美しい。日本一とも言われるその石垣を作ったのは、羽坂重三郎という石垣職人だったという。伝承が残っている。お殿様は丸亀城の石垣を見て、「この城壁を乗り越えられるものはおるまい」と至極ご満悦。ところが、重三郎は「尺余りの鉄棒を下されば、容易に登ることができます」といい、軽々と石垣を登ってみせた。お殿様は驚き、重三郎が敵方に回ると厄介で恐ろしいと考え、重三郎を殺してしまったのだという。その時使われたのが、二の丸にある深さ65mあるといわれる井戸。重三郎に井戸の中を探るように命じ、その隙に上から大石を投じて殺したと伝えられている。
 この井戸は、築城から400年経った今なお水を堪え、枯れる様子はない。

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(つづく)
【城野 円】

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(8・後)

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