【異色の芸術家・中島氏(41)】アトリエメモランダム「私の創造力の秘密」
福岡市在住の異色の芸術家、劇団エーテル主宰の中島淳一氏。本人による作品紹介を共有する。
制作メモランダム
無数の筆触が垂直に降りそそぐ。それは雨というより、内なる宇宙の言語。ピンクは、まだ名をもたぬ情熱の初期衝動。金は、肉体の奥で微かに鳴る神々の記憶。銀は、魂が昼と夜の間で擦れ合うときに生まれる光の粉塵。画家の手がキャンバスに触れるとき、その色たちは、創造以前の世界から逆流してきた沈黙の歌のように躍り出る。形は断片化し、統合され、また崩壊し、まだ世界が固まっていなかったころの時間が再現される。形が崩れ、色が垂直に流れ落ちるこの構造は、神秘学的には三層のエネルギーを象徴する。ピンクの繰り返しは、シュタイナー的にいえばアストラル体が感情を色の粒子として解き放つ痕跡である。高次の感覚が目覚める瞬間、心象は言葉よりも色で現れる。その揺らぎがピンクの奔流となりキャンバスを縦断している。
銀・白・淡い銀色や白の光は、アストラルの混沌を受け止め、秩序を与えるエーテル体的智慧を象徴している。これは、創造の最奥にある静謐の中心だ。天界の呼吸が密かに脈動している。黒・オリーブ・暗色の縦筋は、霊的創造にともなう内なる重力であり、魂が何度も転生を繰り返すなかで蓄積したカルマの縦軸を示している。その重力があるからこそ、高次の色彩は飛翔し得る。この絵は単なる抽象ではなく、アストラル・エーテル・カルマという霊的三階層が並列に流れている「創造の断面図」である。創造原理そのものを可視化する試みだ。抽象表現主義の技法を用いながらも、表現主義ではなく、Inspiration(霊感)そのものの可視化へ向かっている。
絵肌には厚いマチエールが重なり、絵具が「降りてきた」ような霊的即興性を帯びている。だがその偶然性は、一般的なタシスムの「偶然」ではなく、霊的必然の統合的リズムとして働いている。縦方向のストロークの反復は、魂が上界と下界を往復するときに生じる垂直的緊張を象徴する。ロスコの色場、ポロックのオールオーバーとは異なり、常に垂直性=霊的上昇の動勢を孕んでいる。さらに「創造とは何か」というその問い自体を主題としている点でメタ絵画的である。色が降り立ち、積もり、貫き、やがて画面のなかに秩序をつくるこのプロセスは、画家が日々アトリエで経験している創造の瞬間そのものである。創造の秘密とは、色彩の向こう側から届く呼吸である。『The secret of my creative inspiration』は、霊的世界が画家の内側に侵入する瞬間を、色彩の断片として固定化した創造の化石である。








