バングラデシュで40年支援活動「取り残された人々」を見つめて(前)
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NPO法人シャプラニール=市民による海外協力の会
「貧困がなく、すべての人々が潜在能力を自由に発揮できる社会」の実現を目指し、バングラデシュを中心に支援活動を続けている「NPO法人シャプラニール=市民による海外協力の会」。今年のダッカでのテロ事件を機に、再びその存在が注目されている。
本当に役立つ援助とは
今年7月1日の夜、バングラデシュの首都ダッカにある、外交関係施設などが集まるグルシャン地区のレストランで惨劇が起きた。武装した7人が民間人を襲撃したテロ事件だ。この事件では28人が死亡した。うち17人は外国人、2人が警察官で、犯人のうち6人が射殺された。日本人7人が犠牲になり、さらに犯人の1人は以前に京都の大学で准教授をしていたとされ、今なお事件の影響は続いている。
そんなバングラデシュを40年以上にわたり支援しているのが、日本のNPO法人「シャプラニール=市民による海外協力の会」だ。
団体名はベンガル語で「睡蓮の家」を意味し、バングラデシュのほかにネパール、インドを中心として南アジアの地域で現地のNGOと協力しながら、農村開発、レストランや家事使用人として働く子どもたち、災害の多い地域に暮らす若者たち、スラムに住む人々、高齢者や障害者など経済発展や開発から「取り残された人々」への支援活動に取り組んでいる。同法人は1972年に発足した。きっかけは、日本の青年ボランティア50数名が「バングラデシュ復興農業奉仕団」として、前年にパキスタンから独立したバングラデシュへ派遣されたことだ。彼らは現地で矛盾に満ちた援助の姿を見聞きした。援助により潤っているのは豊かな人たちばかり。国民の大部分を占める貧しい者にとって援助は無縁だったというのだ。
4カ月後に帰国した団員有志は、バングラデシュの人々にとって本当に役立つ援助について考えた。継続して活動するための組織として、東京で街頭募金を集めるなどして資金をつくりながら「ヘルプ・バングラデシュ・コミティ」(HBC)を結成。これが現在のシャプラニールの前身だ。当初は日本人ボランティアが農村に泊まり込み、子どもたちにノートと鉛筆を配ることから始めた。世界中から送られた支援物資が村に届く前にどこかへ消えてしまう。そんななか、同法人のスタッフに対して村人たちが「この村に支援物資が初めて来た」と喜んでいたのもつかの間、翌日には村の市場で昨日渡したノートと鉛筆がたくさん売られていた。子どもたちは文房具を売って食べ物に変え、飢えをしのいでいたのだ。
彼らはこうして最初の失敗を味わうことになる。また、77年に駐在事務所が強盗団に襲われて駐在員が重傷を負うという事件が起こる。現地の風習や文化を十分に理解しないまま、日本人が主役の支援活動になっていなかったか。そうした反省と模索を繰り返しながら、都市化の進展、経済発展によってバングラデシュの社会に生まれてきた「取り残された人々」に目を向けてきたという。(つづく)
【大根田 康介】<COMPANY INFORMATION>
所在地:東京都新宿区西早稲田2-3-1
代表理事:岩城 幸男
設 立:1972年9月関連記事
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