シリーズ・金融機関淘汰の時代がやって来た(10)~九州地銀行の16年9月期(中間)決算を検証する(4)
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日銀が2016年1月29日にマイナス金利導政策を発表。16年3月期の決算に与えた影響は軽微なものだったが、17年3月期の決算にはその影響が大きく出ていることがわかる。【別表1】の「当期(中間)純利益順位表」を見ていただきたい。
1.当期純利益順位表
<表から見えるもの>
◆九州地銀(18行)の15年9月期の当期純利益は、928億6,000万円だったが、16年9月期は765億4,900万円(前年比-163億1,100万円。▲17.6%)と大きく減少している。◆九州地銀18行のうち、前年比プラスとなったのは、北九州銀行の1行だけだった。11年10月に山口銀行から営業分割を受けて発足。新店舗を増設した効果などによるもので、既存銀行とは比較にはならない面がある。
◆第1位から第3位までは変動はなかったものの、トップの福岡銀行は前年比-26億7,000万円の256億1,500万円(前年比▲9.4%)と大きく減益となった。第2位の西日本シティ銀行はわずか-5,900万円の145億5,900万円(▲0.4%)となったものの、福岡銀行とは110億円余り引き離されており、収益体質には大きな差があるのが分かる。
◆今年4月に発生した熊本地震の影響は大きく、昨年第4位だった肥後銀行は前年比-40億3,700万円の51億7,800万円(前年比▲43.8%)となり、大分銀行に抜かれて第5位に降順。
・また昨年8位だった熊本銀行は前年比-48億2,800万円の-12億6,700万円となり、最下位(18位)に転落している。◆赤字に転落したふくおかFG傘下の熊本銀行に続き、前年比率で収益が大きく悪化したのは、豊和銀行で▲58.2%。次が筑邦銀行の▲47.9%。以下肥後銀行の▲43.8%。福岡中央銀行の▲43.1%。佐賀銀行の▲40.5%。この5行が▲40%以上のマイナスとなっている。
・次に▲20%台は佐賀共栄銀行(▲27.9%)、南日本銀行(▲23.9%)の2行。以下親和銀行、十八銀行、宮崎銀行、鹿児島銀行、福岡銀行、大分銀行、宮崎太陽銀行、長崎銀行、西日本シティ銀行の9行がマイナスとなっており、九州地銀18行のうち、17行が赤字及び減益となっているのだ。2.自己資本比率
国内で銀行業を営む場合、自己資本比率は4%以上。海外でも営業する場合は8%以上が必要となる。九州地銀18行のうち一番高いのは大分銀行の12.02%(16/9月期)。一番低いのは長崎銀行で、7.82%(16/9月期)。全行クリアしているものの、バー(基準)は第一地銀の方が高く、第二地銀の方が緩いとの見方が多い。
日銀のマイナス金利政策の影響
日銀のマイナス金利政策により、収益環境は都銀をはじめとして地銀を含むあらゆる金融機関に大きな影響を与えている。しかし九州地銀18行の中間(16年9月期)決算を見ると、収益はさらに悪化すると予想されており、金融再編の動きは加速することになりそうだ。
(つづく)
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