2024年12月24日( 火 )

シリーズ・金融機関淘汰の時代がやって来た(10)~九州地銀行の16年9月期(中間)決算を検証する(7)

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九州地銀の金融再編の行方を占う(2)

山口銀行本店<

山口銀行本店

◆2007年4月2日、福岡銀行と熊本銀行が経営統合し、金融持株会社「ふくおかFG」を設立。経営統合の形を取ってはいるが、実態は熊本銀行を救済するためだった。
 同年10月1日、ふくおかFGは、経営の厳しい親和銀行(九州親和HD)を傘下に収め、現在の3行体制に移行した。
 ある消息筋は、「かつて福岡銀行の頭取は日銀出身者が占めていたが、2005年4月にプロパーの谷正明頭取(現会長)が誕生。その2年後にふくおかFGは財務内容の悪い熊本銀行と親和銀行の2行を立て続け引き受けているが、その条件として金融当局に対し、『人材の受け入れはしない。プロパー路線を貫く』を認めさせる代償だったのだろう。谷氏の後任にプロパーの柴戸隆成氏がすんなり頭取に就任しているのがその証」と語っている。
 「隙あらばいざ出陣」と虎視眈々の監督官庁に対して、監視される側は誠心誠意尽くす対応をしておかなければならない宿命を負っている。

ふくおかフィナンシャルグループ<

ふくおかフィナンシャルグループ

 それを裏付ける話がある。2011年10月3日、山口銀行は九州の営業権を譲渡して、北九州銀行を新設することができたが、その経緯について触れておきたい。
 山口銀行は2004年5月21日午後1時より開催された臨時決算取締役会議で、就任してわずか2年の田原鐵之助頭取を田中耕三前頭取(現相談役)の意向を受けて罷免。いわゆる「頭取交代劇」(クーデター)により、福田浩一頭取(現会長)が誕生したのだ。
 早速手を打ったのが金融庁。翌年経営が厳しかったもみじ銀行の救済を山口銀行に迫った。山口銀行首脳はクーデターを認めてもらうため、2006年10月1日、山口FGを設立。もみじ銀行を傘下に収め、金融当局に恭順の意を示したのだ。北九州銀行の設立はその見返りだともいわれている。
 九州の地銀は北九州銀行が設立されたため、現在18行。しかし今年2月26日、ふくおかFGは十八銀行と経営統合に関する基本合意を発表。2018年4月をメドに傘下の親和銀行と合併を予定にしており、再び17行に戻ることになる。
 これからは金融再編が進み、合併により行数は減少していくものと予想されている。 しかし今回のふくおかFGと十八銀の経営統合は、独自の経営戦略としての道を選んでいるように見えるのだ。独禁法上の問題もあり、関係する公正取引委員会や金融当局が今後どのような対応を見せるかに、金融関係者の注目が集まっている。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

 
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