観光客にも人気の屋台「かじしか」が福岡市の公募に落選
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福岡市は12月19日、9月から10月にかけて募集を行った屋台の公募で、選定された候補者28人を発表した。現在、名義貸しの営業で来年3月末に営業許可が取り消される屋台と同数の28軒が公募され、108人が応募した。名義貸しの屋台の多くも応募したが、書類による1次審査で落選が続出。そのなかには、県外からの観光客や有名人も足繁く訪れる有名店「かじしか」も含まれていた。
今回の公募は、福岡市が2013年9月1日から施行した「福岡市屋台基本条例」に基づいて行われた。同条例は、実現を目指す屋台の基本理念(第2条)として、「市民、地域住民及び観光客に理解され、愛される屋台」「観光資源として福岡市を広報することができる屋台」を掲げている。「かじしか」は、予約なしでは入れないほど観光客に人気というだけではなく、福岡県の広報活動にも協力するなど、まさに「観光資源」と言える存在だった。その功績は、審査で考慮されたのだろうか。
1次審査は、屋台の設置を希望する場所・期間、屋台の特徴やセールスポイントなどを記入する応募申請書、1日の営業スケジュール、屋台の設置計画などの書類をもとに行われた。しかし、その結果通知には点数が記されているが、具体的に何が何点なのか、内容まではわからないという。6年間、「かじしか」の営業に携わってきた下村克彦さんは、「まさか、書類だけで判断されるとは思っていなかった」と驚きを隠さない。
今でこそ人気店となっている「かじしか」だが、屋台を始めた当初は客が入らずに赤字が続いたという。新たに営業を始める屋台は、すべてゼロからの出発となる。店を構えるだけで、すぐに客がつくほど甘い世界ではない。「食を通じて、観光客に福岡の魅力を伝えてきた『かじしか』がなくなることは福岡にとって損失だ」と、常連客という西区在住の会社役員男性は残念そうに語った。
【山下 康太】
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