2024年12月24日( 火 )

下関ゴルフ倶楽部~理事長辞任に山口銀行相談役のカゲ(7)

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福田浩一山口FG社長退任の真相に迫る

◆2016年6月29日の株主総会後の取締役会議で、山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行の3行を傘下に置く山口FGの社長に吉村猛取締役(兼山口銀行常務)が就任。福田浩一山口FG前社長は兼務していた山口銀行の頭取も吉村氏と交代し、ともに代表権のない取締役会長になり、もみじ銀行と北九州銀行の会長から非常勤取締役に。また、もみじ銀行の頭取であった野坂文雄頭取と北九州銀行の加藤敏雄頭取も代表権のない会長に降任。あえて降任としたのは、本来、会長は代表取締役会長として経営全般を掌握し、頭取は経営の実務を担当するのが通常だからだ。九州・中国地区の銀行(26行)のうち、会長が代表権を持たないのはこの2行だけで特異なトップ交代となっている。

山口FGのトップ交代人事から見えるもの

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◆ある消息筋は次のように指摘する。「山口FGのトップ交代は、下関ゴルフ倶楽部の『ゴルフ半額プレイ』が大きく影響したのではないか。社員代表訴訟で訴えられているのは、福田浩一理事長、田中耕三前理事長、梅﨑弘毅キャプテン、田口三郎前キャプテンの4人。田中相談役としては、理事長である福田氏が裁判になる前、及び裁判が始まってからの対応もまずさから、次第に福田社長を許せなくなっていったのではないか。

 特に3月23日に開催された下関ゴルフ倶楽部の第2期定時総会。裁判所から派遣された検査役が立会うという異常な事態に、このままでは裁判に負けるとの思いが強くなったのではないだろうか。

清交会で挨拶する吉村猛頭取

清交会で挨拶する吉村猛頭取

 これは推測だが、4月に入り福田社長から脳腫瘍の手術を受けるとの報告を受け、病気を理由に退任を迫ったのではないか。福田氏は12年間トップ座にある。実権を握るには十分な在任期間であり、盤石な態勢を築いていてもおかしくない。そうであれば自ら代表権を持たない会長を選択するようなことはないはずだ。それを仕組んだのは田中相談役ではないか。福田氏を代表権を持たない会長にしておけば、その刃が自分に跳ね返ってくることはない。福田氏はもみじ銀行と北九州銀行の会長でもあったが、非常勤の取締役に。その会長のポストを野坂文雄氏と加藤敏雄氏が継いたが代表権は付与されなかった。

 この人事を差配したのが田中相談役であればすべて理解できる。田中相談役は福田氏、野坂氏、加藤氏のトライアングルで構成していた体制を代表権を持たないように骨抜きにし、吉村社長一人に代表権を持たせておけば、コントロールしやすいと思ったのではないだろうか。もし吉村氏が自分をないがしろにするようなことがあれば、2年で更迭された田原頭取のようになるぞど、脅しをかけているように思えるのだ」と、切々と語ったのが印象的だった。

 福田氏は2016年6月29日に山口FGの社長を退任。そして12月31日付で下関ゴルフ倶楽部の理事長を辞任したが、役員ではない山口銀行の田中耕三相談役は、今も毎日出勤しているという。一審の「ゴルフ半額プレイ」は11月30日に結審し、福田理事長ら4人は支払い命令を受けた。その後、広島高裁に上告して係争中とはいえ、はたして相談役のままでいいのだろうか。吉村新体制ためにも、即座に相談役の職を辞すべきではないだろうか。

(了)
【データ・マックス特別取材班】

 
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