2024年11月24日( 日 )

顧客第一主義で躍進続く~独自のWebコンサルで海外マーケットも見据える(1)

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(株)ペンシル 代表取締役社長COO 倉橋 美佳 氏

 独自の研究で蓄積してきたノウハウをもとにWebサイトを分析し、クライアントの売上や成約アップに繋げていく研究開発型Webコンサルティングを手がける(株)ペンシル。同社は2016年6月1日付で、それまで取締役COO(最高執行責任者)を務めてきた倉橋美佳氏が代表取締役社長COOに就任した。倉橋社長に社長就任後6カ月間の進捗と変革、17年以降の見通しについてお話をうかがった。

(聞き手:弊社リサーチ事業部部長・鹿島 譲二)

社長就任6カ月、受け継がれる「顧客第一」の思い

 ――社長に就任されて約半年が経ちましたが、就任前後で変化したと感じられることはありましたか。

 倉橋社長(以下、倉橋) まず自分である程度のことを決定できるようになって、スピード感が上がりました。同時にすべて自分で決める責任が生まれたため、覚田(創業者・現取締役会長)とは相談や連携することが少なくなり、以前より慎重になる場面も増えました。

 ――覚田会長と倉橋社長の経営手法はどう違うのでしょうか。

(株)ペンシル 倉橋 美佳 代表取締役社長COO

(株)ペンシル 倉橋 美佳 代表取締役社長COO

 倉橋 覚田の場合は、自分が思っていること、やっていることを強く打ち出して、スタッフを引っ張っていくタイプでした。私はいろいろな人と協力や相談をしながら進めるタイプです。入社してからすぐに案件を任せてもらいましたので、覚田からチャンスをもらっていたのだと思います。そのときも自分1人で仕事をしているのではないと強く思っていました。部署のスタッフや、いろいろな人に支えられながら経験を積んでこれたと感じます。現在もチームで業務に臨んでいますので、副社長や取締役、執行役員を始めとする社員たちが支えてくれています。自分と同じ世代の社員も多いですし、同じ目線で話をできる部分が大きな違いだと思います。

 ――以前のインタビューで、覚田会長が海外視察で会社を離れたときに、業績が一度落ちたがV字回復したというお話がありました。何か秘訣などはありますか。

 倉橋 クライアントに支えていただいた面が大きかったと思います。長いクライアントだと16、7年続いていて、私が最初に担当させていただいたお客さまも10年くらいのお付き合いになります。付き合いが長いと、いいときも悪いときも一緒に過ごしているので、無理に売上や数字を上げようとする提案は相手にもわかってしまう。ですので、無理に数字を上げようとせずに、そのとき本当にクライアントにとって必要なことをしていく。そうすると我々の真摯な姿勢を先方にもさらに認めていただくことができる、といういい循環が働いたのではないかと。秘訣などではなく、地道に、真摯に「顧客第一」を貫くこと。1人ひとりのスタッフにもクライアント第一主義が染み渡っているからこその結果だと思います。

 ――顧客第一だと業務がハードになりがちに思えますが、社内環境はいかがでしょうか。

 倉橋 スタッフはよく、「自由」という言葉を使いますね。しかし弊社での「自由」は、「好き勝手できる」という意味ではなく、「責任がある自由」。自分が担当する仕事をきちんとやっている限りは、服装や髪型、働き方がどうであれ、自由にできるという意味です。自由というスタッフの働きやすさを重視し、「この会社で働き続けたい」と思える環境を作る。結果、自分たちの環境や選択を守るため、スタッフが自発的に行動してくれていることも多く、助かっています。

 この業界では、在庫がなく、スタッフが商品であるため、スタッフのモチベーションの高さが非常に重要となります。経営者としても、「どうすればスタッフのモチベーションを高く維持できるか」という課題は、新しい組織になり、とくに力を入れている課題の1つです。

(つづく)
【文・構成:中尾 眞幸】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:倉橋 美佳
所在地:福岡市中央区天神1-3-38 天神121ビル5F
設 立:1995年2月
資本金:5,200万円
売上高:(16/2)21億5,462万円
URL:http://www.pencil.co.jp/

<プロフィール>
kurahasi_pr倉橋 美佳(くらはし・みか)
1978年生まれ、福岡市出身。九州芸術工科大学(現・九州大学芸術工学部)卒業後、2003年に(株)ペンシルに入社。R&D事業部マネージャー、取締役を経て、14年に取締役COOに就任。昨年6月に、代表取締役社長COOに就任した。5月20日に営業を開始した台湾現地法人の台灣朋守有限公司の董事長も務めている。

 
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