カトープレジャーグループ・30年無敗の事業経営者が語る地域再生のカギ（３）

カトープレジャーグループ　代表取締役 兼 CEO 加藤 友康 氏

　九州では、2002年に破綻した公共リゾートを「長崎温泉 やすらぎ伊王島」として再生し、地域の雇用創出、経済の活性化に貢献するほか、インバウンドの富裕層にも好評を博す高級旅館やリゾート施設、意趣を凝らしたレストランなど、幅広く事業を手がけるカトープレジャーグループ。すべての事業で共通しているのは、事業収益まで責任を持つ「トータルプロデュース」の姿勢である。同グループ代表の加藤友康氏に、事業を通じた地域再生をテーマとして話をうかがった。

多様なニーズに応える幅広い事業スキーム

　――他の事業についてもお話をうかがいたいのですが、事業の立ち上げは、委託を受けてマーケティングから入るという流れでしょうか。

16年４月27日にオープンした、カフー リゾート フチャク コンド・ホテル（一番右の建物がANNEX棟）

　加藤　いえ、私どもにはいろいろな事業スキームがございます。例えば、沖縄には2つホテルがございまして、西海岸にある「カフー リゾート フチャク コンド・ホテル（Kafuu Resort Fuchaku CONDO・HOTEL）」（沖縄県恩納村）は、大成建設さま、東急リゾートさま、私どものジョイントですべて分譲型となっております。部屋ごとにオーナーさまがいらっしゃり、オーナーさまが利用しない時は、ホテルとして私どもが運営することで、その収益を還元するようになっています。16年4月27日にオープンした「ANNEX棟」は、自社分譲で完売いたしました。管理組合の皆さま、そして1人ひとりのオーナーさまに喜んでいただけるように努めております。

　高級旅館のシリーズも手がけております。不動産大手のヒューリック（株）と提携し、15年7月1日に（株）KHリゾートマネジメントを設立し、その会社で「スモールラグジュアリーリゾート」として、現在3つの旅館の運営と、新規開発を行っております。これらも1つひとつが、オリジナリティのある施設として作り上げており、「箱根・翠松園」（神奈川県箱根町）は、国の有形文化財である三井財閥別邸の敷地内に残すかたちで開発させていただいております。「熱海 ふふ」（静岡県熱海市）は、開放的な海のイメージが強い熱海で、深閑の森のなかに作らせていただきました。「ATAMI 海峯楼」（静岡県熱海市）は、もともとある方の迎賓館でした。隈研吾さんが設計されましたが、それを旅館として再生しました。

　また別の法人では、大前研一さんからご依頼をいただき、研修施設としてもご利用いただけるよう新たなスモールラグジュアリーリゾート「ATAMI せかいえ」（静岡県熱海市）というケースもございます。
　レストランでは、ご依頼をいただいて業態開発をすることが相当あります。ローマの「ラ・ペルゴラ」という三ツ星レストランのシェフであったハインツ・ベック氏と提携し、日本生命さまからのご依頼で、丸の内ガーデンタワー内に「HEINZ BECK」（M2F）、「Sensi by Heinz Back」（1F）をオープンいたしました。東武鉄道さまとのご縁で、東京スカイツリーに相応しいレストランとして、ソラマチの最上階に「天空LOUNGE TOP of TREE」のご提案をさせていただきました。

　大阪府では、北区西天満で大阪のにぎわいを川と森で作る「中之島にぎわいの森プロジェクト」の一環で、DREAMS COME TRUEさまとコラボレーションし、「中之島LOVE CENTRAL」を作りました。ここでは、水を活用していくことが大阪の地域活性化の大きなポイントになると大阪府にご理解いただき、施設内に船着場を作っていただき、船がどんどん行き来するようになりました。おかげさまで今、予約がなかなかとれないようになっています。

（つづく）
【聞き手・文：山下　康太】

＜プロフィール＞
加藤　友康
1965年、大阪府出身。ホテル、フードサービス、スパ、ラグジュアリーリゾート、公共リゾート、エンターテインメントなどあらゆるレジャー事業の総合的な開発を行うプロデュース企業、カトープレジャーグループの代表取締役兼CEOを務める。22歳のときに父親の急逝により事業を引き継ぎ、代表取締役に就任。現在、日本全国に事業所を展開し、総スタッフ数約3,500名、年間500万人におよぶ顧客を動員している。代表的な事業として「箱根・翠松園」「Kafuu Resort Fuchaku CONDO・HOTEL」「麺匠の心つくし つるとんたん」などがある。主な著書に、「経営者が欲しい、本当の人材」「世界一楽しい仕事をしよう！KPG METHOD」（ワニブックス）がある。